内容説明
あまりにも多くの人たちが日本の古典とは遠いところにいると気づかされた著者は、『枕草子』『源氏物語』などの古典の現代語訳をはじめた。「古典とはこんなに面白い」「古典はけっして裏切らない」ことを知ってほしいのだ。どうすれば古典が「わかる」ようになるかを具体例を挙げ、独特な語り口で興味深く教授する最良の入門書。
目次
第1章 古典を軽視する日本人
第2章 日本という国にはいろいろな古典がある
第3章 「和歌」とはなにか?
第4章 日本語の文章はこうして生まれる
第5章 「わかる古典」が生まれるまでの不思議な歴史
第6章 人間の書いた『徒然草』
第7章 どうすれば古典が「わかる」ようになるか
著者等紹介
橋本治[ハシモトオサム]
1948年3月東京生まれ。東京大学文学部国文科卒業。’77年『桃尻娘』で講談社小説現代新人賞佳作。以後、小説・評論・古典の現代語訳・エッセイなど、精力的に執筆活動中
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
katsubek
62
他の本の中で紹介されていて。面白くて、時を忘れてよみとおしてしまった。著者の才能豊かなことと、知識豊富なことに、敬服。現代文も古文も、細かく読むだけでなく、ふわっと大きく読むのも大切と、改めて認識。古文が現代語に繋がっていくくだりは、まことに楽しい。世の中の中学生、高校生が「古典嫌い」になりませぬようにと、心から祈る。2022/12/11
月讀命
59
日本の文字や文章の変遷を解り易く説明している。方丈記がカタカナと漢字で書かれていたという事を初めて知った。・・・これって恥ずかしい事なのかな。今迄、古典を何となく外国語の様な感覚で捉えていた。書店の学参コーナーでも、『試験によく出る重要古文単語260』『サルでもわかる古文文法』・・・等が多く並んでおり(実際にこんな題名の参考書は多分発売されていない)まるで英語のテキストの様である。古典は、我々日本人のルーツが使用していたものであるから本来身近なものである。この本は、古典を身近にしてくれるツールである。2015/05/07
ヨーイチ
58
1997発刊。橋本治の「一見中高生向きの語り口」本。大人が読むと気恥しくなることもあるが、言っていることは大まともに思える。こんな書き方をしているのも、自分が古文に対してコンプレックスを抱いているせい。専門家の指摘、ツッコミもあったことと思うが、初学の小生としては取っ掛かりを与え貰った気分。作者に感謝したくなる読後感って有りそうであまり無い。今更だけど「言葉」を大切にしている姿勢には素直に尊敬と共感が出来た。今度はこの人の訳した古典でも読んでみようか。2019/06/29
さぜん
49
中学生の男子と母親が本を探していた。母親は学校の推薦リストを持っていたが在庫がなかった。息子はこの本を選びレジにきた。私は母親に「これは面白いですよ。おススメします。」と言うと「難しいかなと思ったんですけど本人がこれがいいって」と。嬉しかった。橋本さん、あなたの本は新しい世代に読み継がれていますよ。2019/04/03
みやび
43
タイトルから想像していたよりもずっと砕けていて解りやすく、興味深い内容だった。古典の内容を取り上げて解説するとかではなく、古典を通して日本語そのものの遍歴を見せてもらえた感じ。何年もかけて四苦八苦しながら完成した日本語。当時生きた人々だって現代の自分達と同じだったと考えると、古典が少し身近に感じられる。だから、無理に解ろうと勉強するのではなく、当時の人々の気持ちになって感覚で古典を読めば良い。兎に角まず慣れること。難しいからと敬遠せずに、いろんな古典の世界を感じてみたくなった。2021/06/26