内容説明
「無責任国のお粗末な役者が、一人イキがって責任なんぞ取ってはオカシイとオレは考える」―心底自由人で庶民の代表のような自称「三文役者」が、幅広い俳優人生における喜怒哀楽を天衣無縫な文章で綴る随筆集。女を愛し、女に愛され、酒を好み、ジャズを聴き…そこには、人間に対する愛情があり、テコでも動かない正義感と八方破れみたいで実はチャントした論理がある。
目次
オレは食事をケイベツする
酒は金をかけずに飲むべし
オレにはオンナがわからない
銀座と親父とオレと
静かなる随筆
悲しき祝賀パーティ
サマー・イン・バンコック
ルポルタージュ・喜界島
ワン・モア・ヒロシマ
小さな“川島雄三伝”〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夜間飛行
169
《オンナぐらいウルサクてイヤラシイものは居ない》《オンナとオネンネするのが大好きなために、じっと辛抱しているだけのハナシである》。山内一豊の妻を罵り《内助の功がなければ生きて行けない様なオトコはオトコではない》。少し頷く所もあるが、私など日頃妻や娘に助けてもらう事が多いので、この昭和の糞オヤジが本当にそう思っているのか、疑わしく感じる所だが、戦争経験世代(私の父も)は戦地に死にに行かされたわけで、それを飲み込むのに〝俺は男だ〟意識が骨の髄まで染みついているのか。そういえば切腹までしたバカな文士がいたなあ。2023/07/03
ひねもすのたり
2
前から気になっていた殿山泰司のエッセイ。 JAZZファンだったそうですが、グルゥーヴ感のある文章は現代においてもまったく遜色なく読むことができます。 基本的にドーデもいいことを語っていますが、その抽斗の多さにはただただ唖然とさせられます。 味のある脇役としてテレビで度々目にしていましたが、亡くなって20年以上の月日が流れました。 俳優としてはもちろんですが「作家殿山泰司」を時代の波間に埋もれさせてしまうのはあまりにも惜しい。 「日本帝国の糞ったれ。あ、いけねえ、鉛筆が折れてしもうたがな…」巧い!2012/04/02