ちくま文庫
断影 大杉栄

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  • サイズ 文庫判/ページ数 307p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480035479
  • NDC分類 289.1
  • Cコード C0123

内容説明

ほんとうの自由を求めて、権威・権力と戦い、女性を愛し、ついには関東大震災直後に憲兵隊によって虐殺された大杉栄。歴史の闇に埋もれた大正アナーキストたちの中でも、ひと際、光彩を放つ大杉の激しく熱い魂へと迫る!アナキズムとはなべての支配されざる精神―と語る竹中労が渾身の力で書き下ろした未発表原稿が文庫オリジナルで登場。

目次

生い立ちの記―兇暴の疾
一波万波―無政府主義以前
冬の時代―大逆事件
生の拡充―『近代思想』
断章―愛は惜しみなく奪う
補遺―苦諦・日蔭茶屋
襤褸の巷―美的浮浪者の群
日本の運命―「労働運動」の時代
長い幕間―コミンテルンの密使
アナ・ボル抗争―「総連合」成らず〔ほか〕

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

厩戸皇子そっくりおじさん・寺

67
先日、栗原康の『大杉栄伝』を読んだ勢いで、積んでいたこちらも読む。「バカなんじゃないか」等とつっこんだりしながら情けない所もピックアップして書く栗原康に比べ、何かと贔屓の引き倒しでカッコ良すぎの竹中労の大杉。どちらが実像に近いかはわかり兼ねる。二人は引用する大杉の文章のチョイスが微妙に違う。竹中労は大杉栄の差別的な発言がある文章を引用するが、その点、栗原康は多少ライトである。昔読んだ樋口毅宏のエッセイに、宮本武蔵や坂本龍馬より吉川英治や司馬遼太郎の方が偉く、美空ひばりや矢沢永吉よりも竹中労や→レビュー続く2021/01/08

Ikuto Nagura

9
学校で教わる日本史では、大正デモクラシーを思想近代化の単なる一過程としか捉えない。「歴史は歪められ偽られる、なぜか?それは、戦後民主主義よりも自由な時代が過去にあったということを、日本の知識人は禁忌としたからである」その偽られた大正の真の姿を、竹中が大杉を軸に甦らせる。権力との闘争、民衆による直接行動の最長不到。普選実現デモ、全国水平社、日本共産党結成などのあった大正11年から翌年の関東大震災にかけては、正に蒔かれた革命の種の収穫期。新左翼の敗北を認めた上での未来への提言でもあり、当然現代にも通じるかと。2016/04/27

bapaksejahtera

8
本書は未定稿や何やらを集めた物のようで重複が多い。更にルポとは異なって政治とぶつかるテーマなので竹中は乱暴な推論を詩的に覆う。また本書では青蛙房の大正っ子物が頻に引用され、当時は今日を上回る自由があったと述べる。否定はしないのだが、本書の一つのテーマである男女関係の奔放さ(右翼左翼いずれもこれを非難する事となる)も含めて、共にこの時代に新たに生まれたのではない。遠い昔から人民は奔放だったのだと思う。兎も角最近は左右の論調が竹中と異なり定型的となって突破的な主張が少なくなった。これは危ういことかも知れない。2020/08/19

澤水月

7
大杉栄を題材に竹中労節満載。大杉は関東大震災後のドサクサに殺されたこともあり今読んで唸らされる記述も多々。首相が死んだ事による組閣の空白状態時に震災が起きたと改めて知った。「ビギナーズ読者諸君、そいつは大むかしの話だと、のんびり構えておられませんぞ。有事の際の超法規はニッポン低国国家権力の十八番」。様々な想像力を働かせながら甘粕について考察、瀬戸内晴美「美は乱調にあり」に苦言。決して読みやすい文でなく(未定稿ということもあろうが)悪文とさえ言えるが魅力的2011/08/31

3
大変面白く読んだ2018/03/11

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