内容説明
病気の妻に先立たれ、酒におぼれて酒場、屋台を徘徊する作家―。何度くりかえしても止まぬ宿酔と悔恨、酒場の女将の優しい一言にとんだ勘違いなど、あなたにも身に覚えがありませんか?つい身につまされてしまうが、ここまでやるのは半端じゃない!日本文学史上の代表的私小説作家である著者自身が色濃く反映する人物を主人公にした酒場小説集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
jahmatsu
34
酒場シバリの私小説集。本人も言っているが、「独創性のない文章」がクセになり噛み締める程に味が出まくり、飲み屋という宇宙に引き込まれていく。タイトルも言ってみただけなのが最高。しかしよく飲まれたようで、負けられない。2020/09/25
おおた
15
妻が若くして亡くなってから酒に溺れた私小説、というと背中を曲げて一人盃を傾ける印象がありますが、こちらはひたすら酒場通い。そして痛飲&泥酔。そんな日が続くといくら売れている小説家でも作品を書けず金が滞り、家族は着の身着のままというダメ人間ここに窮まれり。それでいて酒場では愛嬌よくママさんに絡んであまつさえ20歳以上年下の娘と同じくらいのママさんの肩に手を回したりする。同じ酒飲みとして反面教師筆頭となりました。きっかけとなる前日譚も気になります。2017/05/06
nstnykk9814
15
夏葉社の2冊と電子本に続く上林暁4冊目。だらしない酒飲みの酔態を遺憾なく曝しているあたりが私小説家の第一人者らしい著作。巻末の編者解説にもあったが、「斬新ではないが、古臭くもない」「まともな文章」こそが、この作家の大きな魅力なのだろう。2016/01/14
michel
13
★4.7。酒場の物語。暖簾をくぐれば、女がいて、男がいて、そして酒がある。私はスナックのママである母に育てられました。酔漢ほど愛すべき愚かな者はない、と私は思っています。酒場にはたくさんの出会いや別れの物語が生まれてるんだなー。時代は異なるのですが、作者の飲む人生と母の飲ませる人生とを重ねながら、何とも言えない感慨深い読書となりました。以前に読んだ三島由紀夫全集の付録に上林暁 が田宮虎彦との交流を書かれていたのですが、その事がここに中堅作家のTとの交流として書かれていて、またまた嬉しく読みました。2021/07/25
Red-sky
3
短編だからチョコチョコと。お酒の私小説。ちょっと昔の話だから飲み屋の話題2016/11/26