ちくま文庫<br> 山田風太郎明治小説全集〈4〉幻燈辻馬車〈下〉

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ちくま文庫
山田風太郎明治小説全集〈4〉幻燈辻馬車〈下〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 394p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480033444
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

「父!」と助けを呼ぶお雛の前に突如現われた、西南の役で死んだ父親の幽霊。その父が呼ぶと祖母の幽霊も出現。嘉納治五郎、山川捨松、三島通庸、自由党の壮士らに幽霊も加え多彩な人々が時代の波にのみ込まれていく。事実とフィクションをたくみに織りまぜて描かれる明治を生きた人々の哀歓。他に短篇『天衣無縫』『明治忠臣蔵』『絞首刑一番』を収録。

著者等紹介

山田風太郎[ヤマダフウタロウ]
大正11(1922)年、兵庫県養父郡関宮町の医家に生れる。昭和24年、「眼中の悪魔」「虚像淫楽」で第二回探偵作家クラブ賞を受賞。平成13(2001)年死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

103
後半は、やはり山田風太郎という感じがさらに色濃くなっていきます。いったんは捕らわれの身となった狂言回しの元会津藩士の干潟がその後、出獄します。また干潟の妻の敵がほかの人物の手によって打たれます。まあ様々な人物が亡霊になったりしますが、玄武と青龍という老馬をひきいて辻馬車が走り続けます。2024/02/04

しんすけ

17
物語は、会津の怨念と会津への怨念に展開する。 幕末会津は京都見廻組の役を引き受けた。そのため薩長から敵視されていた。会津藩士にしてみれば幕府の指示に従ったに過ぎないという気持ちだけだった者も少なからず居たには違いない。 しかし薩長の会津を憎むこと、あまりにも大きくそれが会津戦争に発展した。 白虎隊の悲劇は、薩長の憎悪が醸成した会津侵略が招いた悲劇とも云える。2021/01/05

ken_sakura

17
面白い。さすが山田風太郎ヽ(´▽`)/では、あるけれど、物語は暗く、逆らう者を大っぴらに殺せる権力に敗れて人が死んでいく。権力に抗する自由民権運動も同類の域を出ない。個人において善良であったとしても、日本人が集団になった時に見せる哀しい低止まりの一面を描いた物語と読んだ。加波山事件には錦織先生も干潟干兵衛も名前がないので、干兵衛の幸福なその後を信じたいm(_ _)m後に短編三つ「明治忠臣蔵」「天衣無縫」「絞首刑第一番」。これも暗いお話。2017/02/11

きょちょ

14
後半は会津藩の悲哀だけでなく、戦争そのものの悲劇を背景に描き出す。そして「密偵」が明らかになり物語は一気に盛り上がり加速していく。終わり方も実に良い。感無量。 ★★★★★2015/04/20

ヨーイチ

10
再読はしてません。ちくま文庫のこの企画は本当に素晴らしいと思う。Amazon書評も軒並み高評価だし。山風明治物で一番評価が高いようである。「キイクル」と音を立てて辻馬車が走る。この擬音は俥でも使われる。元会津藩士が孫娘と共に何故か反政府運動に巻き込まれる。圧政と反抗・復讐が全編を覆う。山風の小説は何でもありだ。当たり前の様に本編では幽霊が登場する。但し忍法帖と同じでルールが確立していて、妙に明るく合理的。これも山風らしさ。岡本喜八監督が映画化を計画していたらしいが、どこら辺を掬い上げる積もりだったのだろう

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