内容説明
東京の下町・木挽町生まれの異色のフォーク・シンガーなぎら健壱が、“どうしても書き残しておきたい”と綴った、昭和30年代の下町の小僧たち。縁日、銭湯、貸本屋、駄菓子屋、カタ屋、ベーゴマ、紙芝居屋、と下町の少年達をとりまくすべてが、いきいきよみがえる、あのなつかしい世界。
目次
銀座生まれ
食べ物の思い出1―蕎麦
銀座の思い出1
おもちゃ三種の神器
銀座の思い出2
食ベ物の思い出2―ブルーチーズ
月光仮面
食べ物の思い出3 スパゲッティ・ミートソース
縁日
銭湯〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Yoshiyuki Kobuna
6
昭和63年データハウス刊行、平成6年ちくま文庫化。令和の現在読んでみると、まさに昭和中期、30年代のあれこれがこれでもかというほどに詰め込まれている。自分はこの時代に生まれてはいないけれど、当時のあるいは後の映像作品からうかがい知ったまさに当時の生活の情景は、活き活きと描かれていて圧巻の一言に尽きる。昭和の終わりに記されたこともあり、祭りへの苦言も。そういう時代を経ていまに至っていることを思えば貴重な文化記録であり、もっと単純にはとにかく面白い読み物。読み物と書くのがいいのではなかろうかと思う。2021/02/06
misui
3
このところ東京の下町のあたりをうろつくようになり、特に昭和30年代に興味を持って本書を読んだ。ただこれは子供の文化が中心なので少し目的と外れていた。地方出身の自分の経験と遠くで繋がるようなところもありつつ、やはり東京の異質さが際立つ。2020/10/30
ウチ●
3
なぎらさんの歳は私より一回り程上なので、細部までイロイロと書かれた昭和30年代の事柄は直接目にしてない物事が多い。しかし、なぜか懐かしく面白く読めた。多分、私の黄金時代だった昭和40年代・50年代にも昭和の王道30年代の伏流はあちこちに流れており、思い出したように突然にベーゴマやめんこが流行したり、ということも多かったからか。紙芝居と駄菓子屋は子供たちの正にパラダイスでだったなぁ。(近所の公園には昭和50年代半ばころまで紙芝居のオジサンが来てたんですよ)そうそう、地元では「もんじゃ」ではなく「おべった」。2015/06/24
あーさー
2
飄々としながらもシニカルな部分を併せ持つ、なぎら健壱さんの「下町」に関するエッセイ。なぎらさんは曲も文章も大好きです。2023/07/08
麦焼酎
2
なぎら健壱って、お坊ちゃまなのね。東銀座で小学生時代のほとんどを過ごしたって(!)そのあと葛飾の新宿(にいじゅく)に引っ越して民度が違うと驚いたって、そりゃそうだ。昭和30年代といえばまだまだ戦後。そんな中での小学生生活…今より楽しそう!香具師の中でも「泣き売(ばい)」と言われる人たちがいたのをはじめて知った。劇場型詐欺の先駆けか?この本は基本的に男性向けだが、その時代の雰囲気や商売、食べ物を知ることができて女性が読んでも面白い。が、読み終わった時「やっぱり男は昔からアホだねぇ。」と思うことだろう。2023/01/20