ちくま文庫<br> オモニの歌―48歳の夜間中学生

ちくま文庫
オモニの歌―48歳の夜間中学生

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  • サイズ 文庫判/ページ数 263p/高さ 15X11cm
  • 商品コード 9784480023094
  • NDC分類 916
  • Cコード C0136

内容説明

48歳で初めて学校にいった在日朝鮮人オモニが、苦難の半生と学ぶことの喜びを語る感動の記録。世界一の就学率をほこる日本にも、教育を受ける機会を逃した人々が全国に数万いる。その多くは在日朝鮮人、被差別部落の人たちである。夜間中学に集まる彼らの姿を描きながら、その中で最も典型的な在日朝鮮人オモニの一生を聞書きで追う。

目次

第1部 夜間中学の仲間たち(夜間中学との出会い;初めての授業;新入生歓迎運動会;それぞれの過去を背負って;秋の遠足;文集『わだち』;夜間中学生の像;新しい仲間;コレ ナンデヤロ;自分の歴史を学ぶ;雨の修学旅行;1・2・3・3・年生;先生にも知らない歴史があった;52歳の卒業証書)
第2部 私の「自分史」(門のない故郷・済州島;オモニは魔法使い;税金がきた;「君が代丸」で日本へ;ああ、大阪;オ・マ・エ・ワ・ア・ホ・カ;私の夫は俳優さん;大阪大空襲;猪飼野に根をはって;風の便り、朝鮮戦争;朝鮮人から「日本人」;「日本人」から朝鮮人;青い空がない;オモニ ボゴシッポ)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

belier

1
文字を読めず日本で生きてきた在日韓国人1世の女性が夜間中学生となった。その中学の先生がその女性から聞き書きして書いた80年代に出版された本。前半は言葉を知る喜び、学校生活の喜びが語られ、後半は自伝となる。差別や貧困という苦労続きの人生が語られる。幸いなことにオモニは苦労にめげることなく、日本と韓国で一族に手厚くつくす立派な人生を送った。こうしたことも日本近代史の一部なのにこれまでよく知らないで来た。もっと知るべきことと改めて思う。2018/05/28

tecchan

0
30年以上前に出版された本書を古書で入手。読み書きの出来ない在日韓国人オモニが48歳にして始めて夜間中学に入り、学ぶことの喜び、そして14歳で日本に来てからの苦難の半生を語る感動の記録。現代の我が国では、読み書きが出来ない人がいることは信じられないが、在日韓国人に限らず、わずか数十年前までは、日本人でも家庭の事情で学校に行けない人がたくさんいた。明治29年生まれの自分の祖母も名前程度しか文字を書けなかったことを思い出した。2016/09/29

KounoNao

0
夜間中学へ通う在日一世の「お母さんたち」、その中学の先生が、生徒であるオモニたちから聞き取りをしてまとめたノンフィクション。つたないところも多々あれど、一人のひとの半生を独白のかたちでていねいに追っている。学校は笑いにあふれているいいところ!なのが嬉しかった。無我夢中の人生を覗かせてくれてありがとう、という気持ち。そうして、今このとき、の現実はどうなっているのだろうと、ふとまたふりかえる。かかりそうでかからない、架け橋。2014/01/04

ももんが

0
教育を受ける機会がなかった、主人公が夜間通学で学ぶ喜びを知って、自分史を語る話。字や数字が読めなければ、バスにも一人で乗ることができない、買い物の時のおつりもわからない。当たり前のことに驚いてしまった。日本人の差別屋、戦争の時の日本軍の話、もっと、もっと知らないといけないと思う。2013/06/05

chloe

0
夫蔵書。貧困と差別が同じ人間をここまで隔ててしまうのか。国籍の違う人たちになされたことだから、どこか他人事のように受け取るふうもあるだろう。しかし隔てる「違い」が国籍以外のものになったとき、この人生の道のりは容易に私たち自身のものとなる。教育を受ける権利、教育を受けさせる義務、両者の途方もない重さを思う。2020/12/10

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