内容説明
イギリスの伝説の英雄・アーサー王とその円卓の騎士団の活躍ものがたりは、15世紀、一人の無頼の騎士によってまとめられ、イギリス最初の印刷業者によって、同じく15世紀に印刷、刊行された。―厖大な原典をもっともうまく編集したと定評のあるW.キャクストン版で贈る、「アーサー王の死」。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
85
トリスタンとイゾルテの話も聖杯探求もなく、湖の騎士で王妃ギネヴィアの愛人でもあったランスロットの話中心。でも読むとランスロットのド屑さとメンタルの弱さに絶句することもしばしば。そしてアーサー王に謀反を起こした息子、モードレッドが民衆に受け入れられたのは「騎士道故に戦が必要となってしまうアーサー王より、快と楽を与えるから」という理由が衆愚政治にならないために必死にならなければならない今の日本の政治や人民の統治で出てくる矛盾を鑑みるとグサッとくるものがありました。2015/07/22
おおた
22
中学の時にTRPGから憧れたまま、この年まで読まなかった。FGOのおかげだ、課金した甲斐があるってもんだね♥ アーサー王が最初に抜く剣はエクスカリバーではない、ランスロットは基本冒険と愛にうつつを抜かしてる狂人、ガウェイン卿は朝型と、曖昧だった知識がクリアになった。なんでもバトルで序列を決める脳筋には時代的に仕方ないと諦めるにしても、ランスロットの放埒ぶりは近くにいたら困るな…。あと、グィネヴィアの気まぐれやランスロットを操る魔女など、おいしいキャラがいっぱいで、後世で二次創作が捗ったのも分かる。2021/03/06
柳 真佐域
14
物語と思って読んだらこれはこうでした、あれはこうでしたという書き方で面白さを感じなかったのを覚えている。あとアーサー王ってよりランスロットの話がほとんどで、アーサー王の妻がとんでもない性格だったという印象。もっと面白く書かれているものもあるはずなので時間があったら探してみるのも良いかもしれない。2018/08/29
またの名
13
ほぼアーサー王ではなくラーンスロットの話。さぞや由緒ある格調高い英国騎士道物語が展開されるかと思ったら、「この剣を抜ける者が王になるであろう」のお約束展開に早速やすやすとクリアした少年アーサーから剣を渡されるや自分の手柄だと報告する乳兄弟の嘘つきぶり、時は流れてアーサー今際の際にも名剣エクスカリバーに目がくらんだ従者が偽の報告をするなど権力周りの人々の行動原理が露骨に我欲なのでコミカル。戦闘力でも忠誠度でも無双のラーンスロットが最後まで主張し続ける身の潔癖が端的に嘘だったりと、ツッコめる細部に事欠かない。2017/08/27
赤い熊熊
11
にわかFate視聴者なので、ギルガメシュに続いて、アーサー王。初めて読んだのですが、アーサー王の王妃なのにランスロットと浮気するギネビア姫。「気高い騎士」ねぇ。騎士の名前が覚えきれないほど出てくるけど意外にすいすい読めてしまいました。2019/10/30