出版社内容情報
松丸先生の六十余年にわたる甲骨学研究のエッセンスが読みやすい形で新たな一冊に! 漢字の源流、甲骨文字の世界を味わえる一冊
内容説明
甲骨文発見より百二十年、漢字三千年史の萌芽を語る…!若き日の論考「甲骨文略説」、壮大な歴史研究「殷人の観念世界」、書き下ろし「『甲骨文合集』の刊行とその後の研究」など、六十余年にわたる甲骨学研究のエッセンスを一冊に凝縮…!
目次
1 甲骨文略説
2 甲骨文の話
3 殷人の観念世界
4 「甲骨文」における「書体」とは何か
5 古文字“解読”の方法―甲骨文字はなぜ読めたのか
6 甲骨文字のしくみ
7 漢字形成期の字形―甲骨文字“文字域”についての試論
8 殷代王室の世系
9 十二支の「巳」をめぐる奇妙な問題
10 漢字起源問題の新展開―山東省鄒平県出土の「丁公陶片」をめぐって
11 『甲骨文合集』の刊行とその後の研究
著者等紹介
松丸道雄[マツマルミチオ]
1934年、東京生まれ。東京大学文学部東洋史学科卒業、同大学院人文科学研究科修士課程修了。東京大学東洋文化研究所教授等を歴任。東京大学名誉教授。甲骨金文学・中国古代史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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へくとぱすかる
35
殷の系譜がおよそ文献と一致するとはいえ、相違点はやはり「史記」など文献側の誤り、ということらしい。「殷人の観念世界」は別の本に収録されたもので既読だが、神話的世界の解釈には再読する価値があった。「巳」と「子」の問題で、干支の順序が過去に変化していたとは驚き。最大の話題は「丁公陶文」だろう。漢字の始原について、発想の大転換ともいうべき論が述べられている。まさかここで彝文と関係するとは!2017/08/07
さとうしん
6
著者がこれまで甲骨文に関して執筆した一般向けの文章などを収録したものだが、論文で引用・言及されることもある「「甲骨文」における「書体」とは何か」などが収録されているのが嬉しい。ただ、内容としては比較的古い研究に自らの見解を加えたものが中心なので、書き下ろしの「『甲骨文合集』の刊行とその後の研究」をもう少し詳しく書いて頂ければ更に良かった。2017/07/09
霹靂火 雷公
5
甲骨文字についての研究史の概略を垣間見れる一般書。ほとんど予備知識が無い状態でも読みやすかったが、内容の平易さによってⅠ章とⅡ章は逆だと更に好かったと思う。惜しい。2017/08/24
in medio tutissimus ibis.
4
甲骨文とは、亀甲牛骨に刻まれた文字である。殷墟より出土し、殷王朝二十二代から三十二代までの二百数十年間にわたる祭祀や狩猟についての占いとその王による解釈の記録に用いられ、貞人の署名と書刻者の書体から時代が推定される。現時点で最も古い中国の文字ではあるが、その複雑さから前身となる文字の存在も推定される。滅んだ文明かも。殷王朝には十干に対応する十の王室が存在し交代に王を輩出した。それぞれが所属する支族と同じ名前の別個の太陽の祭祀を司っており十日神話との関連が伺われる。王や王妣の諡号の末尾に一族のそれを附した。2019/07/04
石
0
こんな意味不明の記号を、どうやって解読するのか、その解読はどの程度信用できるのか、そうした疑問の一端には答えてもらった。これ以上詳しく知りたければ、専門家に直接聞くか。自分でもっと専門の本を読むかしなければならないのだろう。2024/02/18