内容説明
「神なしに生きかつ考えることがあらゆる人間の日常生活を規定しているだけではなくキリスト教信者の日常さえも規定している」(W.パネンベルク)超越的な次元を失い世俗的な無神論が自明となった現代において、神学は如何なる見取り図を与えられるべきか?本書は、カール・バルトが『ローマ書注解』を刊行した1919年からユルゲン・モルトマンが『体系』を完成させた1999年までを20世紀神学と捉え、“人間は神や超越の次元を認識し得るのか”という命題と取り組んだ時代として描き出す。この時代状況と向き合った数々の言説を整理・分析して三類型を抽出、更にブルンナー、バルト、ティリッヒ、バーガー、パネンベルク、モルトマンの議論を参照しつつ、人間学を基礎学とする神学の再構築を新たな可能性として力強く論じる。
目次
序章 人間は超越の次元を認識し得るのか
第1章 人間は超越のシグナルを聞き得るのか―世俗化した世界における神認識の可能性について
第2章 人間は「神の像」をもっているのか―いわゆる「自然神学論争」再考
第3章 神学の秘密は人間学なのか―神学におけるルードヴィッヒ・フォイエルバッハの問題
第4章 神の啓示は歴史学的に検証可能なのか―初期パネンベルクにおける「歴史を通しての神認識」という構想
第5章 人間学を基礎学とする神学は可能なのか―初期パネンベルクにおける「神」の問題
第6章 神認識における「先取り」(Antizipation)構造―初期モルトマンの神学における認識概念としてのAntizipation
第7章 それは神学におけるパラダイム・シフトなのか―ユルゲン・モルトマンにおける「歴史」と「自然」
第8章 象徴的神認識は可能か―「神は存在それ自体である」という言述は非象徴的な言述か?
終章 神学的認識論と人間学の課題
著者等紹介
深井智朗[フカイトモアキ]
1964年生まれ。アウクスブルク大学哲学・社会学部博士課程修了(哲学博士)。現在、聖学院大学総合研究所助教授
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