出版社内容情報
【解説】
処女懐胎による誕生,不治の病を癒すなどの奇跡,数々の知恵の言葉,十字架磔刑,そして復活……。4福音書を中心にイエスの足跡を辿り,実像解明に多角的な検証を試みる。
目次
第1章 ゴルゴタの丘で
第2章 洗礼者たちのもとで
第3章 神は今日、やってくる…
第4章 なぜ奇跡なのか
第5章 律法の愛から愛の律法へ
第6章 預言者たちを殺す町、エルサレム
第7章 長い歴史の始まり
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たつや
17
イラストや写真、絵画を多用して、イエスの生涯をまとめた本。私のような初心者には、欲を言えばもっとわかりやすくまとめて欲しかったところですが、それでも、繰り返し、いろいろな本を読むことで、イエスが本当にいるような気が最近しています。無神論者だった私が今年になって急に変わりました。不思議です。2016/06/13
roughfractus02
8
実在したイエスなる人物に関する書物は、歴史上のイエスに注目したエルネスト・ルナン『イエス伝』以来の歴史研究の流れを意識せざるを得ないのだろう。聖職者の著者がキリストでなくイエスを語ると、ユダヤ教の教義を破る革命的人物と、愛の理念によって部族宗教を人類宗教へと完成させる人物が1人の人間の中で拮抗する。生地がナザレがベツレヘムかという問いには歴史的にはナザレとし、処女懐胎は事実かという点には過去の人間離れした預言者の事例からそう伝えられたとする本書だが、戦後発見されたエッセネ派の死海文書には一定の距離をとる。2022/10/21
おやまだ
6
史実としてのイエスを検証するのは、著者だけでなく読者の私にとっても涜神的とみなされかねないので慎重に。イエスの教えの革新性は、隣人を愛せ、しかも「敵」を愛し、「迫害するもの」のために祈りなさいとするところかと思う。ユダヤの民たちは、エルサレムに入ったイエスを政治的メシアとして期待したが、イエスはそれを望まず、また律法主義者の企みによって十字架にかけられるが、イエスは本当に、民族を超えて、宗教的派閥を超えて、普遍的な愛の世界の実現を目指していたのかもしれない。2020/05/04
えふのらん
4
宣教活動や奇蹟ではなく、あくまでユダヤ教と対置させながら説明しているのが良い(資料も同様で、イコンを用いる際もラビについての注釈がはいっている)。モーセとイエス、旧約と新約、律法と愛、隣人愛一辺倒の語りが多い中で、こういう歴史的意義からはいってくれる本があるのはありがたい。(愛を学ばないと理解したことにはならないけど)。知の再発見ならではの良書。2020/01/07
runorio
2
次第に支持者を増やしていくイエスがローマ人に危機を持たれていく過程が詳しく描かれており 興味深かった。絵画等のカラー資料が多いのは良いがレイアウトがいまいちで読みづらい部分が多い。クムライコーイの【荒れ野のキリスト】が見開きで載っているページには目を奪われた。 2010/07/07