出版社内容情報
グローバル化やネットワーク化によって社会が大きく変動するなかで,
デザインについての話題はもっぱら経済と技術あるいはビジネスの方法としての思想に集中し,
人間や文化への視点はどんどん置き去りにされていった。
約半世紀にわたってブックデザインの世界で活動し,
写真,映像についての著述でも知られる著者が,
生活者としての視点から日常の出来事や現代社会にひそむデザインの政治性や権力性について2005年以降に発表してきたエッセイのほか,
各誌に発表してきた書評やレビュー,コメントを集成。
地に足の付いた生活や制作の現場から立ち上がってくるデザイン批評。
エンブレム騒動をはじめ現代日本における「デザイン」のありようが改めて問われているいま,
デザインを通じて多数の書物や才能とかかわり,
「『知恵蔵』裁判」を通じて法とデザインの衝突にいちはやく身を置いてきたブックデザインの巨匠が,
積年の知見を次の世代へとつなげていく。
内容説明
生活者そして知識人としてのデザイナー12年間のクロニクル。はじめてのエッセイ集である。
目次
タイポグラフィの薄さ
点に留どまる
読書日録
二〇〇五年上半期読書アンケート
アンケート わたしを/がつくった雑誌
沈黙の一拍
DTP時代の「なにを」「どう」
暗がりの消滅
二〇〇五年読書アンケート
デザインを漂流させる〔ほか〕
著者等紹介
鈴木一誌[スズキヒトシ]
1950年、東京都立川市に生まれる。1969年、都立立川高校卒。1973年、東京造形大学を中退して杉浦康平のアシスタントとなる。1985年、独立。飯田橋に事務所と自宅を構える。以後、映画本、現代史、事典、写真集、文芸書を主に、密度と力動に富むブックデザインを1万点近く手掛ける。表紙まわりと本文のデザインはもちろん、スタッフ編成、ワークフロー構築もふくめ、本を生産する工程全体を一貫して設計・施工する建築家兼現場監督的デザインワークを特色とし、職能・技術・資材を総合して生み出される印刷物のテクノゴシックな迫力と重量感は、圧倒的(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。