内容説明
母子家庭の母親を“餓死”に追い込んだ、飽食時代のニッポンの福祉を問う。
目次
第1部 ある母親の人生(誠実なる熱心;ほころび;赤信号;最後の望み;波紋)
第2部 巨大なからくり(生活保護の実状;大きな転換;広がるギャップ;国民の意識)
第3部 やさしさとイマジネーション(一年半後;私たちに問われるもの)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hatayan
45
1994年刊。1987年に札幌市で母子家庭の母親が子3人を残して餓死した事件をきっかけに、生活保護制度の歴史と問題点をルポ。母親の子どもや知人、厚生省や札幌市の生活保護担当者に話を聴き、不正受給に鋭い視線が向けられる実情などを丹念に取材。血税を納める市民に対して申し訳ないことをやめようと行政が保護率を下げると、福祉のセーフティネットから漏れる人が出てくる。餓死事件を受けて行政の怠慢に怒りを覚えるか、限りある財源を適切に割り当てるために何ができるかを考えるか、立場によって読み方が変わってくる一冊です。2020/05/07
Ted
4
生活保護を拒否されて母親が餓死した事件を追ったルポ。ひとなる書房から90年に出版され、94年には現代教養文庫にも収められたが、発行元の廃業で絶版となり入手しづらくなったためか読者が殆どいない。優れたルポなのに残念。内容もさることながら著者の筆致にも感銘を受けた。感情的にならず淡々とした描写だからこそ読む者に強い衝撃を与える。「憤りを共感してもらうには自分が怒ってはいけない」お手本のような本。著者の視線はその後も一貫しており、同じ趣旨の発信を映像の分野(日本TV『ドキュメントNNN』)でも行なっている。2010/09/19
キーにゃん@絶対ガラケー主義宣言
3
2002年11月19日 この本を読んだ02年からちっとも変わっていない事に愕然とする。13.1.19