現代教養文庫<br> オホーツク諜報船

現代教養文庫
オホーツク諜報船

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 334p/高さ 15X11cm
  • 商品コード 9784390114547
  • NDC分類 916
  • Cコード C0193

内容説明

綿密な取材でレポ船=情報活動を行なう北海の男たちの実態に迫る。

目次

根室海峡の“影”たち
オケッチウシ
拿捕と収容所
ケラムイ浅瀬―アナマ
ハバロフスク
根室
別海
横浜
志発水道
アナマ
千歳
野付
三角水域
アナマ=クラボーツク
東京
古釜布=ユジノクリルスク

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

hatayan

49
単行本は1980年刊。冷戦さなかの1970年代、ソ連の国境警備隊は根室の沖で拿捕した日本の漁船を懐柔。密漁に目をつぶる代わりに日本の情報や物資を提供させる「レポ船」として運用します。日本の公安は盗聴までして捜査するも、漁師に裏をかかれ証拠を押さえられません。ベトナム戦争の時期には米国の反戦脱走兵や米軍将校の脱出ルートとしてレポ船は活躍しますが、国家の機密に触れたレポ船に対してソ連は冷酷な判断を下します。 まじめな漁師が生きるために時代と国家に翻弄された様子を描く、泥臭さと切なさを感じさせる一冊です。2020/07/11

AICHAN

37
図書館本。日本の情報や脱走米軍人と引き換えに北方領土近辺で漁をするレポ船。戦後すぐからその姿はあった。戦後、千島から引き上げた日本人16,505人が根室地域に入り、前浜で魚介類を獲り尽くした。そのため北方領土付近での操業を目指し、ソ連への情報提供と引き換えに漁をする漁師が増えたのだ。中には“帝王”と呼ばれる大物もいたが、逮捕されるのは小持つばかり。しかも証拠をつかめないので別の容疑で逮捕するしかなかった…。綿密な取材による恐ろしいくらいリアリティーのあるノンフィクションだった。よくぞここまで取材した。2021/10/27

やさぐれパンダ

20
昨年12月に逝去した直木賞作家西木正明氏のデビュー作。 根室港から出入りする漁船の中に ロシアと通じて ロシア領での漁を黙認してもらう代わりに、日本の電化製品や新聞を持ち込んでいる 「レポ船」といわれる船があった。 その内容をドキュメンタリー風に著述した作品。2024/01/18

Ted

7
'80年7月刊。○戦後から冷戦期まで、北方領土海域での操業を黙認してもらう代りに機密情報や物品などをソ連に渡していた「レポ船」の実態を描いた小説。小説とはいえ事実に近い内容を含んでいるのでロシアでも翻訳され資料になっているという。倒叙の構成も映画的で面白い。冒頭のシーンも映像的なのでそのまま映画にしても違和感がない。また、実在する人物と摩り替って工作活動をする「背乗り」の話が出てくるが、日本人になりすましても通用するような風貌が工作員にないと難しいので、北朝鮮やロシアならではの謀略といえる。2016/04/14

turutaka

3
前々から、「ハロー張りネズミ」ネタで気になっていた、レポ船について知見を深めたく手に取った。読んでみてわかったがハロー張りネズミの元ネタやね。北海道の隅っこのど田舎で繰り広げられるスパイ活動の最前線がリアルに伝わってくる。小説の体をとっているが、かなりリアルでネタをしっかり収集しているから描けるのだろう。オチも秀逸。素晴らしく面白かった。2019/04/07

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/314074
  • ご注意事項