ドイツ文学セレクション<br> 狙われたキツネ

ドイツ文学セレクション
狙われたキツネ

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  • サイズ B6判/ページ数 366p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784384005264
  • NDC分類 943
  • Cコード C0097

内容説明

1989年、チャウシェスク独裁政権下のルーマニア。家宅侵入、尾行、盗聴。つきまとう秘密警察に怯える日々。そうしたなかで、ひとりの女が愛にすべてを賭ける。しかしそれは、親友との友情を引き裂くものだった…祖国ルーマニアの運命に思いをはせながらヘルタ・ミュラーが描くあまりに切ない物語。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

乙郎さん

9
今年のノーベル文学賞受賞作家の長編。1989年のルーマニアにおけるチャウシェスク独裁政権下における暮らしを描いている。最初は独特の雰囲気に入るのに苦労したが、はまり込むと一気に読めた。これは傑作。前半の牧歌的ながらも陰をたたえた雰囲気はブローティガンを、後半の歴史に呑まれる様相はクンデラを連想。街を覆う閉塞感。切り刻まれていくキツネの毛皮―おそらく日本人には簡単に理解はできない.だからこそ得体のしれない恐怖がある。このような事実がほんの20年前にあったということに驚愕した。2009/10/14

cyunkiti

1
チャウシェスク政権下の閉塞感が畳み掛けるように描かれてて、読んでて息苦しい思いが。監視社会の息苦しさが感覚的に迫ってくる。う~~ん、恐怖感は1984の方が上のような。そこはまあフィクションとノンフィクションの違いなんだろうけど。後味はあまりよくない。ノーベル文学賞といわれてピンとこない。去年のドリス・レッシングは感動したけど。自分としては、今年はマクラウドで感動しすぎたので、なかなかこれを越えるものがなくて・・・2009/10/20

ゆうちゃん*明日も晴天

1
ノーベル文学賞ってどういう基準で選ぶんだろう?2009/10/17

lico

0
あちらこちらに散見される自然描写が目につく。メタファーとして使用されているようなときもあれば、視覚効果として使用されている箇所もある。水、太陽、植物が特に多く感じた。特徴的な所は自然が生きているように語られることで、日本にもお天道様がみている何て言葉があったなと思い出した。この小説においては自然の人格はなぐさめ、応援というよりも独裁体制側の監視者といった体で主人公を圧迫しているように感じ、著者の独裁体制時代のルーマニアの自然や社会のイメージが垣間見ることができるようで面白かった。2015/07/01

ひっさん

0
チャウシェスク政権下における教師の物語。猫の視点や自然の視点を入れることで、当時の厳格な秘密警察やスパイの臨場感を表現している。映像が十分でなかった時代において、こういった小説として当時の社会を表現したことが、社会的に意味をもったものであったのだろうと思う。改めて、物事を映像でなく、文字として伝える、書籍の役割について考えさせられた。2019/11/03

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