内容説明
事故で夫を失ったサヤは赤ん坊のユウ坊と佐佐良の街へ移住する。そこでは不思議な事件が次々に起こる。けれど、その度に亡き夫が他人の姿を借りて助けに来るのだ。そんなサヤに、義姉がユウ坊を養子にしたいと圧力をかけてくる。そしてユウ坊が誘拐された!ゴーストの夫とサヤが永遠の別れを迎えるまでの愛しく切ない日々。連作ミステリ小説。
著者等紹介
加納朋子[カノウトモコ]
1966年福岡県生まれ。92年『ななつのこ』で第三回鮎川哲也賞を受賞し、作家デビュー。85年に「ガラスの麒麟」で第四八回日本推理作家協会賞(短編及び連作短編集部門)を受賞
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さてさて
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八つの短編が身近なミステリーと共に描かれる連作短編の形式を取るこの作品。『ささや さら…』。『すごく懐かしくて哀しくて、そしてとても大切な音』。そんな音が聞こえてくるその瞬間を読者が目にする奇跡の物語。短編それぞれに身近なミステリーをアクセントに織り交ぜながら展開するその物語は、主人公であるサヤが、力強く、たくましく、そしてしたたかに生きていくための力を得ていく姿を見る物語でもありました。その音が『世界一哀しくて、懐かしい』と感じるその結末に、まばゆい光差す世界を遠くに垣間見た、そんな優しい作品でした。2021/04/19
ダイ@2019.11.2~一時休止
249
ささらその1。事故で亡くなった主人がゴーストとなり陰ながら主人公を支えていく。図書館に予約している次作以降も楽しみだ。2015/01/03
ショースケ
230
ほっこり、ゆったりの気分になる。家族愛に幸薄いサヤ。結婚し、赤ん坊が生まれたばかりで旦那まで目の前で事故で亡くす。相手方に息子をとられまいと佐々良という田舎に引越し、時々旦那が現れ助けられる…気弱で泣き虫だったサヤが子供の成長とともに強くなっていく。また遠慮のない三人の老女たちも物語のいいアレンジになっている。読んでいて含み笑いをしそうなあったかいお話だ。2021/02/12
しんたろー
222
読み逃していた加納さんの初期作品。評判高く映像化もされたのでハードルが上がっていたが「うん!加納さんらしい」と納得…ファンタジーをベースに人情+ちょっとミステリで安心して読めた。主人公・さやが泣き虫なのが好きではないが、それゆえに死んだ亭主や周囲が世話を焼くのだから仕方ない設定だし、さやの成長物語とも言える。三人の婆さんとエリカという脇役たちがイイ味だしているのと、暗くなりがちな話を優しい文章とユーモアを交えて「癒し」になっているのも筆者の真骨頂だろう。シリーズになっているので次作も「癒し」を求めたい♬2019/11/04
射手座の天使あきちゃん
199
ここまで純真で、儚げで、「たおやか」な未亡人(表現古いかな (笑))はいないっしょ!? てか、いたら赤ちゃんの人生波乱万丈でしょ!(笑) 三婆とエリカママの脇役キャラがいい味でしたね 「馬鹿っサヤ」の一言が微妙に引っかかるのは関西の血が入ってるからかな? <(^_^;2011/09/02