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内容説明
四天王に踏まれる邪鬼、灯籠に彫られた兎、書院ふすまの引き手、山道に佇む石仏…。注目されずとも、特異な存在感を放つ「美」がここにある。京都・奈良を中心に、黙々とそろった百の「脇役」。鮮烈で精緻な写真とともに、作家・俳人・学者・僧などがその魅力を語る。作家・司馬遼太郎氏が産経新聞記者時代に手がけた好評企画、待望の文庫化。
目次
桂離宮中書院の高床広縁
高山寺の石水院
高山寺石水院釘かくし
北野神社のキリシタン灯籠
名物うどんの俵屋
賀茂別雷神社の砂庭
大徳寺山内参道
芳春院の打月橋
修学院離宮の一二三石
曼殊院門跡の梟の手水鉢〔ほか〕
著者等紹介
井上博道[イノウエハクドウ]
1931年、兵庫県香住町生まれ。写真家。奈良市在住。龍谷大学在学中に写真を始める。西本願寺撮影が縁で、福田(司馬)氏の知遇を得る。卒業後、産経新聞大阪本社編集局写真部に入社。4年目に「美の脇役」撮影に携わる。1966年独立。「週刊朝日」「太陽」などで活躍する一方、大阪芸術大学写真学科で14年にわたり、教授職に就く(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
井月 奎(いづき けい)
36
楽しめましたし新しい視座をくれました。いや、良書です。 やはりというかなんというか、邪鬼が数回登場しますね(この版の表紙も邪鬼です)。 建築、彫刻、庭、しつらえ、工芸品などのちょいと目のむかぬほうに「こんな楽しいのありますよ」と教えてくれるのです。東大寺二月堂の石段、その最初の三段目までに模様が入っているのなんて、全く気が付きませんでした。うかつですよね。 解説は多くの人が筆をとっていて、多種多彩な文章と考察が楽しめます。 そうそう、写真家の入江泰吉の文章が素晴らしく香気豊かなのです。 2020/07/04
ムカルナス
8
1958年11から週1回産経新聞に掲載されたコラムをまとめたもので、京阪神の寺社を中心に灯篭や手水鉢、石段など見落とされがちな脇役の美について各界の方々が語る。著名な執筆者としては犬養孝、入江泰吉、岡部伊都子、司馬遼太郎、重森三玲、黒岩重吾etc 各氏にとっての美は何かという興味から頁をめくるのも一興だし、何度も訪れていた場所なのに見落としていた美を再発見することもできる。添えられた写真もプロならではの美しさ。2020/07/19
はちてん
3
タイトルそのまま。誰もが観る中心から、ちょっと脇をみると脇ながらの美があるはずという紹介。モノクロだが写真も豊富。主演賞より助演賞の方が凄いと思う私には、まさにツボの一冊。2011/12/14
KG
2
座右に置いておきたい京都、奈良中心に100篇。モノクロの写真も素晴らしい。★52016/10/30
VAN
1
司馬遼太郎氏が産経新聞の文化部時代に企画し、後に写真家として独立する井上博道氏の写真による同名の産経新聞文化面特集をまとめ61年に出版された本の文庫版で、05年に出版されたもの。司馬氏のエッセイで何度も読んで気になっていたので、古書をアマゾンで購入しました。京都、奈良を中心とした古美術を独自の視点から作品にした写真集ですが、コレをガイドに歩きたくさせる写真と解説で、とても50年前のものとは思えないクオリティの高さです。2013/08/25