内容説明
「ここには、何かがいる…」。大学に受かり、念願の一人暮らしを始めた沖村清美が選んだアパートの一室は、どこかがおかしかった。絶えずつきまとう腐臭、部屋に残る得体の知れない足跡…次々と起こる怪異が、清美をじわりじわりと追いつめていく。著者自身の実体験も盛り込まれたリアル過ぎる恐怖!読みだしたら止まらない、戦慄のノンストップ・ホラー。
著者等紹介
加門七海[カモンナナミ]
東京都生まれ。伝奇小説、フィールドワーク作品を中心に活躍
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ソルティ
298
どんな怪奇現象より人間が一番怖い!新里くんといい感じになったり幻滅したりを繰り返すので、ちょっとキュンとしながらも、彼が生霊とかで元凶?と疑ったが違い、じゃ清美が霊もしくは妄想で元凶?それも違う。ゆき子は手痛い仕打ちが酷い。結局元凶は無念の連続みたいな感じ?新里くんが助けてくれるストーリーなら救いあったのに、ちょっと悲しい。「この人も、どの人もみんな同じだ。自分の許容する範囲でしかものを見ないし、信じない。自分の理解できないものは、理解できる範疇に置き換えるか、否定をするか。どちらかしか方法はないのだ。」2020/08/08
おしゃべりメガネ
217
初読みの加門さんで、いや~、マジで結構コワかったです。ホラーが苦手というワケでもなく、決して毛嫌いとかではないつもりですが、そんなに好き好んで手にはとらないジャンルであり、片っぱしから読破しようとまで思わない類なので、なんとなく疎遠になっています。そんな無防備ともいえる心構えの状況から、読み始めてしまっただけに本作のホラー感は、自分にとってかなりヤバかったです。僅か200頁ちょっとの作品でしたが、最初から最後の最後までずっとヒヤヒヤ&ハラハラ、そしてドキドキの3拍子フルスロットルで読ませていただきました。2015/11/21
夜間飛行
173
都会に出て一人暮らしを始めた女子大生・清美の幻想がボロボロ剥がれ落ちていく様を、アパートの一室の恐怖体験を通して描く。自分の空間でありながら、人影が映ったり、腐敗臭が漂うのはどういうことか。自己愛の王国である203号室は、裏を返せば容易に侵入されてしまう弱い自我の象徴ではないか。清美が恋人候補の新里を(彼にも非があるにせよ)道具扱いし、必要な時だけ頼りにする心理は私にもありそうで反省させられた。昔の怪談のわかりやすい罪業に比べて、自・他に対する幻想や、境界の曖昧さが怪異を呼ぶ所にリアルさを感じる。20042020/07/12
青葉麒麟
110
結局、清美もダークサイドに堕ちちゃったって事か。ものすんごい悪霊だわ((((;゜Д゜)))しかし怪奇現象云々よか周囲の人間が冷たすぎる。リアルだわ。2012/08/25
KAZOO
108
また久しぶりに加門さんのホラーを読みました。都会での一人の生活の中で変事がいくつか現れてきます。非常にうまいもっていき方で楽しめました。主人公はかなり勝気な性格で怪異にも負けないような感じなのですが最後は・・・。うまい決着の仕方でした。2022/07/01