内容説明
古来、特に近代に入ってから、日本と中国との関係について悩み苦しむ両国の知識人たちの姿がありました。私たちは、そんな彼らが歴史の中で遺したものを放棄して生きるわけにはいきません。本書では、過去およそ一〇〇年間、彼らが互いの国(及びそこに映し出される自国の姿)に対してどのように悩んできたか、その葛藤のプロセスが綴られています。そして、私たちが中国という隣国とつきあう際に、そのような「悩み」から絶対に逃れられないことを、日本と中国とのここ一〇〇年の、苛烈でもあり、また疎遠でもあるという、極めて複雑な関係を考えることによって示そうとしています。
目次
序章 日本と中国の近代化
第1章 明治維新と辛亥革命
第2章 反日運動とアジア主義
第3章 十五年戦争の終わりと「終わらない」戦争
第4章 毛沢東の戦争観
第5章 植民地としての台湾
第6章 知識人たちの戦中、そして戦後
第7章 日中台、それぞれの冷戦
終章 日中国交回復で何が「回復」されたのか
著者等紹介
丸川哲史[マルカワテツシ]
1963年生まれ。一橋大学大学院言語社会研究科単位取得退学。明治大学政治経済学部所属。専門は台湾文学と東アジア文化論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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樋口佳之
25
日本語の「反省する」が、往々にして「決着」を表すのに対して、中国語の「反省」は、英語の“reflection”に近く、これから「反省」し続ける態度表明と受けとられます。そこに微妙な偏差が生じていることにも、竹内は最大限の関心を払いました。/2006年刊2019/02/09
このこねこ@年間500冊の乱読家
1
☆2 20世紀の日中の関係について、当時の知識人や文学作品の視点から考察した本。 『阿Q正伝』の魯迅なども出てきて面白い。 日本は台湾を1895〜1945年の約50年植民地にしていた事実を思い出されました。 戦後75年に生きる我々だからこそ、こういうことは忘れてはいけませんね。2019/08/20