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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うえ
8
「内部から神話を解体するのは、至難の業のように見える。なぜなら、神話から逃れようとしてする正にその動きが、今度は神話の餌食となるのだ。神話は最後の瞬間において、それに対する抵抗を意味することが、常にできるのだ。実際には、神話に対する最良の武器は、多分、今度は神話を神話化することであり、「人工的神話」をつくりだすことである。そしてこのように再構成された神話は、全くの神話学となるだろう。神話が言語を盗むのだから、どうして神話を盗んでいけないか?」2019/05/26
きいち
8
事実を物語につなげてあたかも自然なもののように見せてしまう神話の作用にいらだちまくって毒づいているバルトに、思わず共感してしまいます。ファッション雑誌、プロレス、天才少女詩人などの50年前のフランスのその動き全体を分析する神話学によってその状態から脱しようとするのだけど、必ずしも成功しないことも、また神話に接する正しいすがた。2012/12/22
ケー
6
読書会課題本。きちんと理解できていたか不安だったので、その読書会で自分の理解の答え合わせができたのでよかった。2021/07/23
nranjen
5
2部構成にわかれている。1部はおそらく当時身近なものを題材に論じていると思われるが、それ自体驚くべきもののサンプル。2部は1部で述べたことの考察の論述。シニフィエ、シニフィアン、象徴されるものに潜んでいる「神話」(おそらくそれはのちにドクサになる?)ものを暴きだすことこそバルトの狙いだったのではと思われる。2018/06/13
wizard_blue
5
言語のシーニュを神話のシニフィアンへと転化し、言語よりもさらに限定的な恣意(ブルジョワ主義・プチブルジョワ主義の恣意)である「神話のシニフィエ」との差異を新たに作り出す連環の構図が面白い。序文や第二部の冒頭で提示された「神話とはことばである」という一文からも前述のようなソシュール言語学的な視点から導かれたものであることが解るが、訳者も解説の中で言及している通り、「零度のエクリチュール」同様本書にもマルクス主義とソシュール言語学の両方の側面が読み取れるだろう。解説後半の訳者の投げやりっぷりが意外に笑える。2011/06/12