アドホックモバイルワイヤレスネットワーク―プロトコルとシステム

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  • サイズ A5判/ページ数 283p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784320097391
  • NDC分類 547.5
  • Cコード C3041

出版社内容情報

●内容
 急速に普及した無線LANに代表される無線ネットワーク技術は、アクセスポイント不要のアドホック通信によって初めてその潜在的な真価を発揮する。本書は、アドホック無線ネットワークの最先端の技術動向を網羅し、その過去、現在、未来を概観した技術書である。
 第1章と第2章においては、ワイヤレスネットワークとパケット無線通信ネットワークについて説明する。これらの章を読めば、読者がアドホックワイヤレスネットワークの詳細へと進む前に、既存のワイヤレスネットワークに関する広範囲な理解を深めることができる。パケット無線通信はモビリティへの取組みと、レピータを移動させることに成功したという点で、アドホックネットワークの初期の形態と位置づけることができるだろう。
 第3章はアドホックネットワークへの導入を行う。複数の異なるデバイスからなるヘテロな機器構成、様々なトラフィック特性、モビリティ、そして技術的なチャレンジについて紹介する。

 第4章はアドホックネットワークのメディアアクセスに関する問題を解説し、いくつかの解を示す。第5章においては既存のアドホックルーティングプロトコルについての概要を示し、それらの特徴と違いについて説明する。長期間安定ルーティングというコンセプトに基づいた新しいルーティングプロトコルについては第6章で紹介する。
 第7章では実用的なアドホックワイヤレスネットワークの実装についての考察を示す。読者の多くはアドホックネットワークを実用に供するにあたり、その通信性能について疑いを持っていないだろうか。第8章ではこのことについて触れ、フィールド実証実験を行った結果を提示する。
電力消費を低減することの重要性と、定期的なビーコン送信がバッテリ寿命に与える影響については第9章において議論する。アドホックワイヤレスネットワークにおけるマルチキャスト通信のサポートと既存のマルチキャストマルチキャストルーティングプロトコルについては第10章で説明する。第11章ではアドホックモバイル環境が信頼 性のあるTCPプロトコルをどのようにサポートするのかについて述べる。
 ユーザはネットワーク上に存在するサービスを探索できなければならない。そこで、第12章では既存のサービスディスカバリ手法について説明する。進化を続けている Bluetooth テクノロジの基礎については第13章で、WAP(Wireless Application Protocol)の原理については第14章で説明する。アドホックモバイルアプリケーションの可能性について第15章で議論し、最後に第16章で総括を行う。
[原著 C-K.Tho: Ad Hoc Mobile Wireless Networks ― Protocols and Systems ―, Pearson Education, 2002]
(発行元:(株)構造計画研究所,発売元:共立出版)

●目次

第1章 無線ネットワークへの招待
1.1 携帯電話網の進化
1.1.1 第1世代携帯電話システム
1.1.2 第2世代携帯電話システム
1.1.3 第2.5世代携帯電話システム
1.1.4 第3世代携帯電話システム
1.2 GSM
1.3 GPRS
1.4 PCS
1.5 無線LAN (WLAN)
1.6 UMTS
1.7 IMT2000
1.8 IS-95,cdmaOneそしてcdma2000への進化
1.9 本書の構成

第2章 アドホックネットワークの起源:パケット通信網
2.1 はじめに
2.2 技術的なチャレンジ
2.3 PRNETのアーキテクチャ
2.4 パケット無線通信のコンポーネント
2.5 PRNETのルーティング
2.5.1 ポイント・ツー・ポイントのルーティング
2.5.2 ブロードキャストルーティング
2.5.3 パケットの転送
2.5.4 モビリティの影響
2.6 経路の計算
2.6.1 パケット転送の原理
2.7 ペーシングの技術
2.8 PRNETのメディアアクセス
2.9 PRNETのフロー確認応答
2.10 まとめ

第3章 アドホック無線ネットワーク
3.1 アドホックネットワークとは
3.2 移動端末の多様性
3.3 無線センサネットワーク
3.4 トラフィックプロファイル
3.5 アドホックモバイル通信の形態
3.6 モバイルホストの移動形態
3.6.1 経路上のノードの移動
3.6.2 サブネット間をブリッジするノードの移動
3.6.3 複数ノードの同時移動
3.7 アドホックモバイルネットワークが直面している問題
3.7.1 スペクトルの割当てと購入
3.7.2 メディアアクセス
3.7.3 ルーティング
3.7.4 マルチキャスティング
3.7.5 電力効率
3.7.6 TCPパフォーマンス
3.7.7 サービスロケーション,プロビジョン,アクセス方法
3.7.8 セキュリティとプライバシ
3.8 まとめ

第4章 アドホック無線アクセスプロトコル
4.1 はじめに
4.1.1 同期MACプロトコル
4.1.2 非同期MACプロトコル
4.2 アドホックチャネルアクセスの問題点
4.2.1 隠れ端末問題
4.2.2 RTS-CTSソリューションの欠点
4.2.3 さらし端末問題
4.3 受信者始動型MACプロトコル
4.4 送信者始動型MACプロトコル
4.5 既存のアドホックMACプロトコル
4.5.1 MACA(コリジョン回避型多重アクセス)
4.5.2 MACA-BI (by Invitation)
4.5.3 制御チャネル専用シグナリングチャネルを用いた省電力多重アクセスプロトコル(PAMAS)
4.5.4 デュアルビジートーン多重アクセス(DBTMA)
4.6 ハンドシェイクを削減したメディアアクセス(MARCH)
4.7 まとめ

第5章 アドホックルーティングプロトコルの概要
5.1 テーブル駆動型アプローチ
5.2 DSDV
5.3 WRP
5.4 CSGR
5.5 送信元始動によるオンデマンド型アプローチ
5.6 AODV
5.7 DSR
5.8 TORA
5.9 SSR
5.10 LAR
5.10.1 LARの欠点
5.11 PAR
5.12 ZRP
5.13 STAR
5.14 RDMAR
5.15 まとめ

第6章 結合性ベースの長期安定ルーティング
6.1 新たなルーティングパラダイム
6.2 結合性ベースの長期安定ルーティング
6.2.1 新たなルーティングメトリック
6.2.2 経路選択のルール
6.3 ABRプロトコル
6.3.1 経路探索フェーズ
6.3.2 経路再構築(RRC)フェーズ
6.3.3 代替経路
6.3.4 経路抹消フェーズ
6.3.5 ABRヘッダ,ABRテーブル
6.3.6 ABRプロトコルのまとめ
6.4 まとめ

第7章 アドホックモバイルネットワークの実装
7.1 はじめに
7.2 Linux上のABRプロトコル実装
7.2.1 システムコンポーネント
7.2.2 ソフトウェア階層アーキテクチャ
7.2.3 ABRパケットヘッダとビーコンの実装
7.2.4 ABRの出力フローと入力フロー
7.2.5 ABRルーティング機能の実装
7.3 実験とプロトコルの性能
7.3.1 制御パケットのオーバヘッド
7.3.2 経路探索時間
7.3.3 エンド・ツー・エンドの遅延
7.3.4 データスループット
7.3.5 ビーコンがバッテリ寿命に与える影響
7.4 重要な推論
7.5 まとめ

第8章 アドホックネットワークの通信性能
8.1 はじめに
8.1.1 ABRビーコン
8.2 パフォーマンスパラメタの紹介
8.3 経路探索時間
8.3.1 ビーコン送信間隔による影響
8.3.2 経路長による影響
8.4 EED性能
8.4.1 パケットサイズによる影響
8.4.2 ビーコン送信間隔による影響
8.4.3 経路長による影響
8.5 通信スループット性能
8.5.1 パケットサイズによる影響
8.5.2 ビーコン送信間隔による影響
8.5.3 経路長による影響
8.6 パケットロスパフォーマンス
8.6.1 パケットサイズによる影響
8.6.2 ビーコン送信間隔による影響
8.6.3 経路長による影響
8.7 経路の再構築/修復時間
8.8 TCP/IPベースのアプリケーション
8.8.1 TELNET over Ad Hoc
8.8.2 FTP over Ad Hoc
8.8.3 HTTP over Ad Hoc
8.9 まとめ

第9章 省電力技術とバッテリ寿命に関する問題
9.1 はじめに
9.2 消費電力の管理
9.2.1 スマートバッテリとバッテリ特性
9.3 デバイスの消費電力管理技術の進歩
9.3.1 APM
9.3.2 ACPI
9.4 プロトコルによる消費電力管理の進歩
9.4.1 データリンク層における省電力
9.4.2 ネットワーク層における省電力
9.4.3 トランスポート層における省電力
9.5 モバイルアプリケーションによる省電力
9.6 バッテリ寿命の情報を載せた定期的なビーコン送信
9.7 スタンドアロンのビーコン送信
9.7.1 高頻度(High-Frequency)ビーコン送信
9.7.2 低頻度(Low-Frequency)ビーコン送信
9.7.3 隣接ノード不在時における高頻度ビーコン送信と低頻度ビーコン送信の比較
9.8 隣接ノードが存在する場合の高頻度ビーコン送信
9.8.1 隣接ノードが1台の場合
9.8.2 隣接ノードが2台の場合
9.9 高頻度ビーコン送信において隣接ノードが存在する場合と存在しない場合の比較
9.9.1 隣接ノードが1台の場合
9.9.2 隣接ノードが2台の場合
9.10 隣接ノードが存在する場合の低頻度ビーコン送信
9.10.1 隣接ノードが1台の場合
9.10.2 隣接ノードが2台の場合
9.11 低頻度ビーコン送信において隣接ノードが存在する場合と存在しない場合の比較
9.12 推論
9.13 まとめ

第10章 アドホック無線マルチキャストルーティング
10.1 有線ネットワークでのマルチキャスティング
10.1.1 IPマルチキャストアーキテクチャ
10.1.2 マルチキャストトンネルとMBone
10.1.3 マルチキャストルーティングアルゴリズム
10.2 モバイルアドホックネットワークにおけるマルチキャストルーティング
10.3 既存のアドホックマルチキャストルーティングプロトコル
10.3.1 分類
10.3.2 ワイヤレス拡張付きDVMRP
10.3.3 AODVマルチキャスト
10.3.4 マルチキャストメッシュ方式:CAMP
10.3.5 グループベースの方式:ODMRP
10.3.6 位置ベースのマルチキャスト:LBM
10.4 結合性ベースのアドホックマルチキャスト:ABAM
10.4.1 マルチキャストツリーの形成
10.4.2 ホストメンバの変動(参加/離脱)
10.4.3 ノードの移動に伴う動的変化に関連する動的変化
10.4.4 マルチキャストツリーの削除
10.4.5 ABAMのツリー再構築
10.4.6 ABAMの計算量
10.5 マルチキャストルーティングプロトコルの比較
10.5.1 プロトコルの違い
10.5.2 動作と性能の比較
10.5.3 プロトコルオーバヘッドの比較
10.5.4 処理時間と通信量の計算量
10.6 まとめ

第11章 TCP over Ad Hoc
11.1 TCPへの招待
11.1.1 TCPフロー制御
11.1.2 TCP輻輳制御
11.1.3 TCPの抱えるいくつか問題
11.2 TCPのバージョン
11.2.1 TCP Reno(リノ)
11.2.2 TCP Tahoe(タホ)
11.2.3 TCP Vegas(ベガス)
11.2.4 TCP SACK
11.3 無線ラストホップにおいてTCPが直面する問題
11.3.1 間接的TCP(I-TCP)
11.3.2 TCPスヌープ(Snoop)
11.4 アドホック無線環境でTCPが直面する問題
11.5 アドホック無線ネットワークに適したTCP
11.5.1 TCP-F (Feedback)
11.5.2 TCP-BuS
11.6 まとめ

第12章 インターネットとアドホックサービス探索
12.1 インターネットにおけるリソース探索
12.2 サービスロケーションプロトコル(SLP)アーキテクチャ
12.2.1 ユーザエージェント(UA)
12.2.2 ディレクトリエージェント(DA)
12.2.3 サービスエージェント(SA)
12.3 SLPv2パケットフォーマット
12.4 Jini
12.5 サリュテーションプロトコル
12.6 シンプルサービス探索プロトコル(SSDP)
12.7 アドホックのためのサービス探索
12.7.1 既存スキームの限界
12.8 アドホックサービスロケーションアーキテクチャ
12.8.1 サービスコーディネータベースのアーキテクチャ
12.8.2 分散クエリベースアーキテクチャ
12.8.3 ハイブリッド(複合)サービスロケーションアーキテクチャ
12.9 まとめ

第13章 Bluetoothテクノロジ
13.1 Bluetooth規格
13.2 Bluetoothのアーキテクチャ
13.2.1 Piconet(ピコネット)
13.2.2 Scatternet(スキャッタネット)
13.3 Bluetoothプロトコル
13.4 Bluetoothサービス探索
13.5 Bluetoothのメディアアクセス制御(MAC)
13.6 Bluetoothのパケット構成
13.7 Bluetoothオーディオ
13.8 Bluetoothのアドレス体系
13.9 Bluetoothの制限
13.10 Bluetoothの実装
13.11 まとめ

第14章 WAP
14.1 WAPフォーラム
14.2 WAPサービスモデル
14.3 WAPプロトコルアーキテクチャ
14.4 WWWプログラミングモデル
14.5 WAPプログラミングモデル
14.6 まとめ

第15章 常時移動型アドホックアプリケーション
15.1 オフィスの中で
15.2 旅行の時
15.3 帰宅すると
15.4 車の中で
15.5 ショッピングモールで
15.6 近代化した戦場
15.7 自動車間モバイル通信
15.8 モバイルグループウェア
15.9 位置や周囲の状況に基づくモバイルサービス
15.10 まとめ

第16章 結論:アドホック通信の未来
16.1 コンピュータ技術の浸透
16.2 Motorola PIANOプロジェクト
16.3 ネットワークセンサ:スマートダスト
16.4 EPFLターミノード:巨大ネットワーク
16.5 802.15 PANおよび802.16 無線MAN
16.6 どこでもアドホック?
参考文献

内容説明

本書は、アドホック無線ネットワークの過去、現在、未来を概観した技術書である。

目次

無線ネットワークへの招待
アドホックネットワークの起源:パケット通信網
アドホック無線ネットワーク
アドホック無線アクセスプロトコル
アドホックルーティングプロトコルの概要
結合性ベースの長期安定ルーティング
アドホックモバイルネットワークの実装
アドホックネットワークの通信性能
省電力技術とバッテリ寿命に関する問題
アドホック無線マルチキャストルーティング〔ほか〕

著者等紹介

Toh,C.‐K.[TOH,C.K.][Toh,C.‐K.]
1965年シンガポールで生まれた。最優秀の工学学士号と電子工学および計算機科学分野のPh.Dを、イギリスのUMISTとケンブリッジ大学よりそれぞれ授与された。現在、IEEE Journal on Selected Areas in Communications,IEEE Network,Journal on Communication Networks,そしてPersonal Technologies Journalの編集委員でもある。また、IEEEのシニアメンバであり、MARQUIS社の“Who’s Who in the World”および“Who’s Who in Science and Engineering”にも名を連ねている。Hughes社、DARPA、アメリカ海軍そしてTRW社のコンサルタントを歴任してきた。IEEE TCPCのアドホックモバイルワイヤレスネットワーク分科会の委員長であり、アドホックワイヤレスネットワーキングコンソーシアムの理事長でもある。スウェーデン王立工科大学とスイス連邦工科大学の客員教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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アドホックネットワークが注目され始めた10年ほど前くらいから日本語の良本。わかりやすく、さらっと読める。

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