河出文庫<br> モンマルトルのメグレ (新装新版)

河出文庫
モンマルトルのメグレ (新装新版)

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 256p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784309461960
  • NDC分類 953
  • Cコード C0197

内容説明

酔っぱらって警察に現われた踊り子アルレットがしゃべったことは出たらめではなかった―彼女は自宅で絞殺死体となって発見され、彼女が殺されると予告した伯爵夫人も、同じ手口で…。彼女が口にしたオスカルとは何ものか。アルレット‐オスカル‐伯爵夫人を結ぶ線は?モンマルトルを舞台に、司法警察の捜査網は謎の男オスカルをしだいに追い詰めていく…。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kinshirinshi

21
1950年発表。シムノンの描くパリはいつも雨で寒々しく、刑事たちはみなくたびれた印象だ(陰気すぎる所轄のロニョンは言わずもがな)。そんな中、物語の舞台となるモンマルトルのバー・ピクラッツが、文字通り「異彩」を放つ。派手なネオンと酒と薬に彩られた、孤独な人間たちの最期。裏世界を知り抜いたバーの店主・フレッドが、時にメグレの相棒のような頼もしさを見せるのが面白い。メグレの部下である若いラポワント刑事の成長物語にもなっていて、最後二人で飲むシーンが、苦くも暖かい余韻を残した。2023/05/21

bapaksejahtera

14
1950年発表。フランスやパリの土地勘があればより楽しめるのだろう。セーヌ川の中島にある司法警察と所轄署それぞれの刑事の生活が、主人公メグレ以外も含めた群像劇としてよく描かれている。モンマルトルにある小さなキャバレーの踊り子で、ショーが終われば酔客の相手もするという女が、酔った末に警邏の巡査に対しその晩殺人の計画を耳にしたと漏らす。彼女はメグレの許に連れてこられるが、その翌朝自宅で死体で発見される。以降このキャバレーが捜査本部のようになり、その居廻の人物が見事に描かれる。著者が油の乗った頃の作品だろうか。2023/06/26

Ribes triste

12
メグレ警視シリーズ。キャバレーの踊り子アルレットが、小耳にはさんだ殺人計画話を警察に通報した直後に殺害される。さらに、計画通りに事件が発生する。メグレがラポアント刑事に向ける優しさがさりげなくも深い。そして優秀なのになぜかいつも報われないロニョン刑事の存在もいい。2018/09/02

カケル

3
舞台となるキャバレーは映画『女は女である』のイメージかなと。都市の闇に呑み込まれてゆく人間の性をサラリと描くシムノンの筆致を堪能。と、思っていたらラストに爆笑。「実はまだあそこにいるのです…」2023/04/05

Jun Shino

3
どこか心理的な面が面白い。サスペンスフルに、さらり。厳密なミステリというよりは小説を愉しむイメージ。キャバレーの踊り子アルレットが殺された。彼女は早朝警察で客のオスカル、という名の男が伯爵夫人を殺害する話をしていたと訴え出ていた。 謎のオスカルはどこにいるのか、アルレットの生い立ちは、などの情報を寄せるいわばバイプレイヤーたちの描き方が刹那的。 ラスト近くの狭いエリアで場所が移り変わる、焦れたような、結末が近づいてきているようなムード作りの上手さを感じた。さらさらと読めて、 しぶい印象を残した。 2018/09/04

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/671124
  • ご注意事項