内容説明
「ああ、青さん。お前に会うために、わたしはここまで生きてきた気がするよ」―。姉の名は小春、妹は夏子、そこは果たして地獄だったか、それとも桃源郷だったのか。美しい姉妹とその兄と文士が綾なす官能世界の極致を描く絶品。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kashinamu
1
この本を読んでまっさきに思い浮かべたのは、吉行淳之介の短編「出口」だった。登場人物やディティール、短編と長編という違いはあれど、近親相姦と鰻というキーワードは、この「出口」から得たものではないだろうか。あまりに似通っているので読み終えた当初はこの「出口」に対するオマージュで書かれたのではないかと錯覚したほどだ。著者はすでに故人なのでその真相を問うことはできないが、着想の段階で「出口」は念頭にあったのではないか…ふと、そんなことを考えた。
ほたる
0
魅惑的で危険な官能の世界。鰻の描写が多かったことから、何故か田中慎弥さんの「共喰い」を連想させられた。2013/11/19