内容説明
時代・風俗は変われども、女の人生は本質的に変わらない―。マリー・アントワネットやジャンヌ・ダルクなど史上名高い女性たち、サロメやヴィーナスなど神話・宗教上有名な女性たちのさまざまなエピソードをとりあげながら、古今東西の女の生き方をデッサンふうに描く、渋沢龍彦の魅力あふれる女性論。ベストセラー『世界悪女物語』を補完するエッセー集。
目次
マリー・アントワネット
ベアトリーチェ・チェンチ
ジョルジュ・サンド
アグリッピーナ
ローラ・モンテス
和泉式部
サッフォー
ジャンヌ・ダルク
エリザベス女王
シャルロット・コルデー
サロメ
エロイーズ
細川ガラシア夫人
ルネ・ペラジー
ワンダ・リューメリン
聖母マリア
金髪のイゾルデ
マリリン・モンロー
建礼門院平徳子
ド・ブランヴィリエ侯爵夫人
ポンパドゥール夫人
王昭君
マグダラのマリア
ヴィーナス
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
匠
115
40年以上も前に書かれたものだからか、一部では女性に対してかなり偏った見方があるなぁという印象はあるものの、澁澤氏の著書にしては軽くすらすら読めた。マリー・アントワネットに始まり、ジャンヌ・ダルク、細川ガラシア夫人などを経てマリリン・モンローや聖母マリア、果てはヴィーナスに至るまで24人もの女性達の代表的なエピソードをシンプルにまとめてある。反対に言えば奥深さはないので、この本をきっかけに、興味を持った歴史上の人物などについて調べていくのも良いかもしれない。2014/06/08
青蓮
92
神話、伝説、歴史に名を残した古今東西24人の女達のエピソードを紹介。元々は資生堂のPR誌「花椿」に連載していたと言うことで、結構さらっと読めます。ちょっとした隙間時間の読書にオススメ。2017/05/08
ヴェネツィア
45
本書は、かつて資生堂のPR誌「花椿」に連載されていたもの。2年分24人の女性たちが取り上げられている。フランス文学者である著者にとっては自家薬籠中のルネ・ペラジー(サド侯爵夫人)や、イゾルデから、果ては和泉式部やマリリン・モンローまで登場する。面白いのだが、いつもの澁澤に比べてペダンティズム(衒学趣味)にはやや欠けるようである。それこそが澁澤の真骨頂であり、また我々読者にとって澁澤を読む楽しみなのに。編集部の要請であったのか、澁澤の配慮なのかはわからないが、結果的には澁澤入門といった趣のものとなった。2012/12/16
メタボン
28
☆☆☆ 古今東西、伝説の女たちのエピソードをさらりと紹介した本。それもそのはず、資生堂のPR誌「花椿」に2年間に渡って連載した内容を単行本にしたものだからだ。本当にエピソードをさわりだけ紹介したといった感じなので、軽く読めてしまう。本格的に読みたければ「世界悪女物語」をということなのだろう。2019/05/16
歩月るな
14
『世界悪女物語』を補完する、とあるように、あちらで語られたように(本稿にも書かれているが)日本には語るべき悪女らしい悪女もいないので、『女のエピソード』として日本女性が幾人か語られるのがこの本の目玉と言える。内容は、聖女もいれば悪女もいるとの謂いの通りである。色々な意味で贅沢な内容になっている。文字を小さくして、ページ数この半分にまで圧縮しても、そこまで読みにくいって事にはならなかったと思うのだけれど。内容を簡素にしても語る事はしっかり語っている所が澁澤の文体の学ぶべき所であるとも言えるので、これも有り。2015/12/21