内容説明
瑞々しい情感に溢れ、直叙的な実感が迸り、かつ優艶な調べが備った和泉式部の秀歌から50余首を選び解釈・鑑賞・解説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しゅてふぁん
23
ひとつの歌に何人もの解説や歌が引用され、詳細な解説と共に筆者の考察が述べられている。和泉式部と清少納言の歌のやりとりも紹介されていて、親しげだったのが嬉しい。それにしても色んな解釈があるものだなぁ。当時の人々はお互いに正しく意味を理解して歌のやり取りをしていたのかなぁ…。和泉式部の歌を読んでいると恋っていいな、と思えてくる。『世の中に/こひといふ色は/なけれども/ふかく身にしむ/物にぞありける(後拾遺集/恋四/790)』 2017/04/23
俊介
14
入門にしては難しかったが、平安の天才歌人・和泉式部の世界は十分堪能できた。正直、和歌は苦手だ。技巧的なことも分からないし、古文法も難しいし。でも和泉式部が凄いのは分かる。完全に王朝文化の枠を超え、現代の我々の心に直接訴えかける感性、表現力を持っていた。なぜだろう?現代人並みに自由恋愛を謳歌したから?というより、そういう生き方しかできなかったのだろうと思う。これが自分の生き方。自分を貫くことで苦労もあっただろうが、結果、身体の底から湧き上がる「真実」の歌が紡ぎ出された。その真実さが時代を越えるのだろうと思う2022/01/15
Waka
1
誤植がひどい。カギ括弧で始めずに閉じるとか、「『……』……」とあるべきところを片方の括弧や閉じを忘れるとか、原則括弧内を小さな文字にしているのに括弧外も一文だけ小さな文字で書くとか。日本語そのものにも主語述語の通らない箇所が少なからずあった。内容に異論は特にないのだが、日本語の文章として非常に読みにくい。編集者なり誰なり、第三者の目を通しているはずなのに、どうしたことか。また『源氏物語』玉鬘の娘たちは玉鬘の実子であり、養女ではない。本文の記述は事実と異なる。2018/12/03