内容説明
レオナルドにとって“モナ・リザ”と飛行機械はなぜ同じものであったのか。伝説と謎に包まれたレオナルド・ダ・ヴィンチの生涯とその思考の過程、そして傑作に隠された真の意味を説き明かす。レオナルド研究の世界的第一人者による、日本ではいままで触れられたことのない、新しいレオナルド像。
目次
序文―レオナルドと「簡略を好む人々」
第1章 奇妙な経歴
第2章 見ることの意味
第3章 身体と機械
第4章 生きている地球
第5章 物語を語る
第6章 リザの部屋―レオナルド亡き後に
著者等紹介
ケンプ,マーティン[ケンプ,マーティン][Kemp,Martin]
オックスフォード大学美術史教授。ケンブリッジ大学で自然科学と美術史を学ぶ。レオナルド・ダ・ヴィンチの芸術・科学・技術面の総合的研究における世界的な第一人者。ヨーロッパ各国のキュレーター、歴史学者、科学者たちによるプロジェクト「ユニヴァーサル・レオナルド」(2006‐2007年)のオーガナイザーを務める。主著に『レオナルド・ダ・ヴィンチ―自然と人間に関する驚異的偉業』(1981年初版、1989年第二版、ミッチェル賞受賞、2006年新版、日本語版未発売)
藤原えりみ[フジワラエリミ]
1956年生まれ。美術ジャーナリスト。武蔵野美術大学、女子美術大学、東京藝術大学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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roughfractus02
2
デザインは機能に優越すると言ったアップル社の元CEOは平時の時空でそれが可能だと表明したにすぎない。不安定な世界ではデザインは機能と統合されねばならない。レオナルドのモナリザと飛行機械を同じ思考の表現と見る手稿研究者の著者は、芸術と科学なる後付け的区分を取り払い、数学的証明(demonstration)として諸作品と手稿を捉え、その過程にルネサンス的知を背景とするレオナルドの思考を読み取る。身体を機械と捉え、地球を生命体と考えて流体研究する彼の思考は前景のモナリザの身体と地球の生死を表す背景に表現される。2017/04/30
Meroe
1
レオナルドの多様な活動を、概観というよりむしろひとつのものとして捉えようとする本。人間、身体、機械、水脈、樹木は、「形態と機能の結合」という原理において同じものと見なされ、彼にとって素描(=視覚的表現)は、言葉による説明を補うものではなくそれ自体が思考と論証の手段であった。2012/01/22
ドワンゴのサービス使いたくないので引越し中
0
日本語訳もわかり易く、レオナルドの前知識がなくともスラスラと読める。これは所有しておいて損はない。2011/11/03