近代とホロコースト

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  • サイズ B6判/ページ数 296,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784272430697
  • NDC分類 209.74
  • Cコード C0010

内容説明

アウシュヴィッツを可能にした社会的条件をえぐり出し、近代社会の底知れぬ深淵を描いて思想界に衝撃を与えたバウマンの主著。“ヨーロッパ・アマルフィ賞受賞作”。

目次

序章―ホロコースト以降の社会学
近代、人種差別、殱滅
ホロコーストのユニークさと通常性
犠牲者の協力を請うて
服従の倫理―ミルグラムを読む
道徳の社会学的理論に向けて
再考―理性と羞恥
補遺 道徳の社会的操作―道徳的行為者、無関心行動

著者等紹介

バウマン,ジークムント[バウマン,ジークムント][Bauman,Zygmunt]
リーズ大学・ワルシャワ大学名誉教授。現代ヨーロッパにおいてもっとも大きな影響力をもつ社会学者

森田典正[モリタノリマサ]
1956年生まれ。早稲田大学大学院修士課程を経て、ケント大学(イギリス)で博士号取得。早稲田大学国際教養学術院教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ぼけみあん@ARIA6人娘さんが好き

7
大変興味深い内容だった。ナチスのホロコーストに官僚制が果たした役割については、ヒルバーグの大著で触れられているそうだが、あちらは余りにも厚いので今後も読まないだろう。その意味でも、類書の中では比較的コンパクトでよくまとまっていてよかった。なお、同じユダヤ系ながら、ヒルバーグは歴史家で、バウマンは社会学者だが、訳者解説によれば、社会学者がホロコーストを本格的に扱ったという意味でインパクトが大きかったらしい。2010/05/06

transzendental

5
ホロコースト論としてはもちろん、近代論、官僚制論、そして差別論としても読める。被差別者を「ブタ」や「シラミ」などと呼称することが差別に対する抵抗感を和らげる手法として意識的に用いられていたという記述があるが、納得させられる。2011/11/23

tu

2
xvホロコーストはユダヤ人だけの問題でもユダヤ人の歴史だけの出来事でもない。近代合理社会の中で文明が高い段階に達し、人類の文化的達成が頂点に至ったときに起こったので社会、文明、文化の問題である。 23排除という目標のための最終手段、物理的殲滅の選択が、方法と目的の計算、予算の均衡化、普遍的規則の適用といった平凡な官僚的手続の産物であった 29凄まじい残虐行為に対する道徳的抵抗感は3つの条件が同時にでも別々にでも満たされる時、著しく侵食させる傾向①暴力が認められる②暴力が日常化される③被害者が非人間化される2018/09/26

awe

2
ホロコーストは文明化以前の人間の野蛮さの表出ではなく、また反ユダヤ主義の帰結でもなく、近代に特有な現象である。神なき時代において、人間が社会を「造園」するという発想が生まれる。そこでは、「雑草」は摘まれなければならなかったのだ。ホロコーストを成功に導いたのは、ユダヤ人を恐怖で支配することだけでなく、ユダヤ人をナチスに協力せざるを得ないような状況に追い込むことだったというのが印象的であった。また、近代社会特有の社会的距離が道徳的責任を軽減する話は、現代社会に生きる我々にも決して無縁ではないだろう。2018/02/28

アルゴス

2
ホロコーストは社会学では扱いにくいテーマだ。本書でも最初の五章は社会学というよりも歴史学に依拠している。とくに第五章「犠牲者の協力を請うて」は、小さなディーテールにいたるまで、圧倒的な印象を生む。いかに犠牲者が合理的な自己を滅ぼすために協力していったか。暴力の行使がいかにコストのかかるものであるか。ただ、バウマンの社会学者としての功績は、第六章以降の「道徳の社会学的理論」の模索にある。そしてその結論は、道徳は前社会的な次元に生まれるというものだった。この自己矛盾的な結論に、バウマンはひるまない。★★★★2017/12/13

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