出版社内容情報
《内容》 面接は,医師と患者関係の原点として臨床家にとって不可欠の方法であるが,本書は初版発行時から名著の評価を得て,万余の読者に迎えられた。今回の改訂版ではキーポイントにいくつかの[註]を付したことにより,内容の意味と臨床的な味わいのさらに深いものとなっている。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
臨床心理士 いるかくん
51
再読。精神科医にとって面接が如何に大事かについて書かれたものだが、心理臨床家にも必読の書であるといってよい。初版は1977年だが、内容はいささかも古びていない。臨床家にとっては折に触れ何度でも読むべき、単なる面接技法について書かれた凡百の書物を遥かにを凌駕する、もはや古典の域に達している含蓄に溢れた著作である。2015/03/07
riviere(りびえーる)
7
日本人論として著名な『甘えの構造』の著者であり精神科医でもある土居健郎による精神科面接の本。著者は私の恩師の恩師でもあり、またこの本を引用する本によく出会うので読んでみました。B6版150頁の本ながらとても濃い内容で別格という印象。専門書でありながらゲーテ、漱石やキーツなど文学を例に引き、精神科面接を中心に扱いながら生きること全般をも包括しています。私情に巻き込まれず客観的に仕事をすることの難しさを、本書で引用されているフロイトの失敗例ドラの症例から学ぶことができました。繰り返し読むだろう本。2015/04/02
yutayonemoto
4
150ページの本なのに,読むのに少々時間がかかった。内容は主に精神医学における面接の姿勢と視点とでもいおうか。1977年に初版が出ている。内容は決して古くはない。僕の臨床のレベルでは手に余る部分がいくつもあるが,なるほどとうならざるを得ない表現がいくつもあった。精神疾患患者でなくとも,患者である時点で精神に少なからず病理が存在すると仮定して患者と向き合い臨床に取り組むことが出来れば,臨床の精度が向上するのではないだろうか。2014/06/13
たらこ
4
色々と勉強になった。以下走り書き。・どんな理由で受診したか(自発的、人から連れられて) ・自己紹介の重要性 ・「わからない」という感覚の獲得(精神分析の「抵抗」?) ・問題となっていることはどんな性質か ・話の内容と形式に目を配る ・時間軸を整理しながら話を聞く(ストーリーを読む) ・劇を意識 特に「わからない」については、すぐに先回りしてしまいがちなので、気をつけていきたい。2012/10/23
むく
4
再読。前回読んだ時、少しでも吸収しようと必死だったらしく、あちこち線が引いてあった。ちょうど最近、転移についてきちんと理解できなくて苦しんでいたので、そのあたりが特に目についた。とても大切なことをこんな風に分かりやすい文章で伝えられること自体が、土居先生の経験と深い洞察力のなによりの証左だと思う。小難しい理論書の何十倍も役立つ本。2012/03/31