内容説明
19世紀末第三共和政期のフランス政治思想をデュルケムを軸に分析し、フーコーやブルデューを視野におきつつ現代フランス政治思想を問い直す。
目次
第1章 ポール・ジャネの「政治科学」と実証主義批判
第2章 初期デュルケムと「政治科学」
第3章 中期デュルケム社会理論の再婦成と政治
第4章 デモクラシー社会の危機と政治
第5章 デュルケムにおける政治の世界
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
てれまこし
11
自分はほとんどデュルケムを勉強したことがない。柳田国男がデュルケムを読んでいるから、いつかはきちんと読まないとと思いつつ、そのままになってる。そうしてるうちに、第三共和制を支持するデュルケムの政治的態度と彼の社会学とどうつながってるのかというところから、この本にたどり着いた。残念ながら自分の知りたいことはあまり書かれてなかったけど、彼の社会学がカント的主知・主観主義を前提にするジャネらのリベラル「政治科学」への反乱で、『社会分業論』における「社会」の自律性という主張はそういう文脈から出てきたことが知れる。2022/04/19
うえ
5
「デュルケムは、マルクス主義の歴史哲学を「歴史的生成は経済的諸要因に依存する」という経済的唯物論にあるととらえ…「経済的要因が進歩のバネであるということは誤りである」と批判し、さらに次のように言う。「マルクス主義の仮説は単に証明されないだけでなく、明らかにされたとおもわれる諸事実にも反している。社会学者たちと歴史家たちは宗教があらゆる社会現象のなかで最も原初的なものであるというこの共通の肯定命題に、しだいに一致する傾向がある。…」ここでは…政治形態の発生の母胎として宗教が位置づけられている。」2021/12/12