内容説明
『婦人戦線』を中心に集まった松本正枝、八木秋子、望月百合子、高群逸枝らのアナーキストたちは、家族制度への批判、男女間の友愛関係の構築、保育の協同化などの問題を通じて、私たちの社会が忘れ去ってきた生活の根本的組み替えを提起して、新しい道を探ろうとしていた。本書では、結婚や家族、性関係といった問題を、具体的に21世紀にどう組み替えていくべきかをその研究によって考えている。
目次
第1章 近代を問う存在―女性たちとアナーキスト(女性たちの近代とポスト・モダン;アナーキストの近代批判;女たちのアナ・ボル論争)
第2章 女性アナーキストたちの徹底したフェミニズム(転換期の女性の強さ;『婦人戦線』における公私分離批判;「母性保護論争」と家事育児の協同化;公私から自治へ;新女性主義)
第3章 結婚制度の否定と友愛関係(自由な男女関係の模索;「親密圏」とアナーキストの近代批判;松本正枝と「貞操の経済学」―嫉妬心の問題)
著者等紹介
佐藤和夫[サトウカズオ]
1948年名古屋市生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。現在千葉大学教育学部教授。著書に『性のユマニスム』(はるか書房、1992年)。編著に『ベルリン1989』(大月書店、1990年)『ラディカルに哲学する』第1、2巻(大月書店、1994年)。共著に『喫茶店のソクラテス』(汐文社、1985年)『生命の倫理を問う』(大月書店、1988年)『男性の自立とその条件をめぐる研究』(東京女性財団、1998年)他。翻訳にH.アーレント『精神の生活』上・下(岩波書店、1994年)
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