シリーズ「現代批判の哲学」
女たちの近代批判―家族・性・友愛

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  • サイズ B6判/ページ数 190p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784250201011
  • NDC分類 367.2
  • Cコード C3010

内容説明

『婦人戦線』を中心に集まった松本正枝、八木秋子、望月百合子、高群逸枝らのアナーキストたちは、家族制度への批判、男女間の友愛関係の構築、保育の協同化などの問題を通じて、私たちの社会が忘れ去ってきた生活の根本的組み替えを提起して、新しい道を探ろうとしていた。本書では、結婚や家族、性関係といった問題を、具体的に21世紀にどう組み替えていくべきかをその研究によって考えている。

目次

第1章 近代を問う存在―女性たちとアナーキスト(女性たちの近代とポスト・モダン;アナーキストの近代批判;女たちのアナ・ボル論争)
第2章 女性アナーキストたちの徹底したフェミニズム(転換期の女性の強さ;『婦人戦線』における公私分離批判;「母性保護論争」と家事育児の協同化;公私から自治へ;新女性主義)
第3章 結婚制度の否定と友愛関係(自由な男女関係の模索;「親密圏」とアナーキストの近代批判;松本正枝と「貞操の経済学」―嫉妬心の問題)

著者等紹介

佐藤和夫[サトウカズオ]
1948年名古屋市生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。現在千葉大学教育学部教授。著書に『性のユマニスム』(はるか書房、1992年)。編著に『ベルリン1989』(大月書店、1990年)『ラディカルに哲学する』第1、2巻(大月書店、1994年)。共著に『喫茶店のソクラテス』(汐文社、1985年)『生命の倫理を問う』(大月書店、1988年)『男性の自立とその条件をめぐる研究』(東京女性財団、1998年)他。翻訳にH.アーレント『精神の生活』上・下(岩波書店、1994年)
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感想・レビュー

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きつね

8
アーレントにひきつけて高群逸枝を読む章も面白いが、白眉は松本正枝を〈高群やその他の多くの女性運動家と同じく、女性が「妊娠・育児」するこいうことによって抱えることになる問題を一点も曖昧にせず、それにもかかわらず、「恋愛の自由」という当時のもっとも過激な主張を基礎づけるという大胆な仮説を立てた〉(p.176)とする再評価であろう。今と違って避妊はほぼ無しであるから、恋愛―結婚―出産―育児は今よりもはるかに強固に結びついていたことを念頭に置けば、松本の主張はいくら革新的な考えであっても、凡百には想像も及ばない思2015/07/23

singoito2

6
読友さん切っ掛け。昭和初期の女性運動家たちを紹介していて興味深かったです。ただ、2001年1月の刊行以降、9.11がありリーマンがあり、3.11があり、今や性的多様性が論じられる時代、隔世の感を覚えてしまいました。また、「与謝野」を「晶子」といい、「平塚」を「らいてふ」という呼び方も今日ならありえないだろうな、と思いました。2022/11/20

ひつまぶし

3
ハンナ・アーレントの公共性の議論と、近代批判、アナーキズムの関連がよく理解できる。アーレントは公的領域と私的領域の区分を強調し、自由とは公的領域においてのみ成り立つというが、それは女性を私的領域に閉じ込めてきたもので、近代は女性の社会参加を「促してきた」に過ぎない。そうした解放の欺瞞を戦前の女性のアナーキストたちは見抜いていた。『男と女の友人主義宣言』へ続く試作の成果なのだろう。性愛と友情が両立しうる領域を見出そうとする議論としては面白かった。しかし、そのように生きる具体像まではイメージできなかった。2022/11/04

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