内容説明
小人は、お屋敷を守りながら、屋根裏にしまわれた人形の家でひっそりと暮らしていました。ところが、秋も深まったある嵐の夜、ずぶぬれになった妖精が、小人の家にとつぜん迷いこんできました。死ぬことができない定めの妖精は、『ふつうの生きもののように、結婚して子孫を残して死んでみたい』という願いにとりつかれ、『死』を探して旅を続けていたのです。一晩泊めてあげるだけのつもりが、妖精の身の上話に夜な夜な耳を傾けるうちに、小人はかわいい妖精を追い出すことができなくなり…。物語が進むにつれ、『エルフや小鬼、水の精や巨人の活躍する不思議な妖精の世界』と、『小人の住むお屋敷の話』が、しだいにまざりあい…オランダの「金の石筆賞」受賞作。小学校中・高学年から。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mntmt
15
物語の中に物語があるお話です。どちらのお話にも引き込まれてしまいました。2020/01/03
花林糖
13
お婆さんが暮らす屋敷を守っている小人と、そこに迷い込んできた妖精の物語。小人が妖精のお話に引き込まれていく様子が印象的で面白い。設定・結末・挿絵と好みが揃ったお話でした。2015/12/15
無識者
11
結婚はしないし、子孫はいないし、死ぬこともない妖精がそれを経験してみたく、飛び出して、小人の家でその身の上話を千夜一夜物語のりょうに小分けで話していくなかで登場人物が変化をしていく。話として面白かった。登場人物にはそれとなく醜いところがあり、でもその醜さもあまり気にしないところがよかった。2018/01/04
小瑠璃
5
古いお屋敷を守って暮らす小人のもとに、ある夜、妖精がやってきます。一晩だけ泊めてあげるつもりが、妖精のお話に引き込まれた小人は、彼女を追い出すことができなくなり・・・。初めて読んだのは小学生のころですが、記憶していたイメージよりもずっと、妖精が過酷な目にあっていたので驚きました。「ふつうの生きもののように、結婚して子孫を残して死んでみたい」という妖精の願い、結婚とは死とは何なのか。子供の頃はもちろんですが、大人になっても楽しめました。物語の結末、青年の計らいが粋。2013/06/11
yesod
3
小人の揺れる気持ちや、小人とドブネズミ&ひきがえるとのやりとりが面白かった。ひきがえるの話し方が可愛い。妖精も最後は自分の運命を受け入れたことになるのかな。2013/03/02