出版社内容情報
長引く戦争で、国力の尽きつつある日本。ロシアのバルチック艦隊が発動する。国家の命運を賭けた大海戦が始まった──。全巻完結
内容説明
作戦の転換が効を奏して、旅順は陥落した。だが兵力の消耗は日々深刻であった。北で警鐘が鳴る。満州の野でかろうじて持ちこたえ冬ごもりしている日本軍に対し、凍てつく大地を轟かせ、ロシアの攻勢が始まった。左翼を守備する秋山好古支隊に巨大な圧力がのしかかった。やせ細った防御陣地は蹂躪され、壊滅の危機が迫った。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yoshida
234
黒溝台会戦からバルチック艦隊の航海、明石元二郎の大諜報まで。特筆すべきは明石元二郎の大諜報と思う。ロシアという専制国家は既に旧弊の時代。革命の気運が高まる中、燃え始めた革命の火を燃え上がらせたのは明石元二郎の功績が大きいと思う。実際には日本海海戦後もロシア陸軍は健在であり戦争継続は可能であった。一方、日本の財政は限界であった。それで講和が成立したのは外相小村寿太郎の力と、ロシアの革命気運の高まりにあると思う。日本は国家としてこの諜報活動の功績を伝えるべきであった。それにより後世の歴史も変わったと思うのだ。2018/07/03
mitei
163
ロシア国内の革命前夜の雰囲気がすごいな。クロパトキンにもう少し能力があったら日本史が変わってたかもなぁ。2010/01/27
forest rise field
132
この巻では、明石元二郎大佐の諜報活動が中心に書かれていた。日露戦争の勝因のひとつは明石にあると言われるほど重要な働きだった。ロシアそのものに接して革命活動を扇動するというかなり危険を伴うものだったし、各方面から信用される人物でないと務まらないと思った。2022/12/07
ケイ
125
ロシアの大艦隊はようやくインド洋を横切らんとす。東郷の艦隊は、日本での戦艦の修理・整備を終え、海戦に出発。陸軍部隊は、五つに分かれ、クロパトキン率いるロシア軍と退治していこうとする。この巻では、戦闘場面はほとんどなく、日露の主要な人々や艦隊の程度の描写が多い。福岡藩出身の明石の行った諜報活動が極めて興味深い。そうだ、ロシアはフィンランドを統治していて、スウェーデンはロシアと国境を接していたのだ。そして、ポーランドのロシアへの憎悪。ロシア本国から逃げてきた人。彼らを味方につけることはなるほど必要であった2015/02/08
ゆか
121
やっと主人公達がチラリと戻って来ました(笑)この巻の中心はロシアへの諜報活動や反乱などを中心に描かれています。今は、誰が諜報員でもおかしくない時代ですが、当時のこの活動は大変だったでしょうね。右も左も分からない海外での諜報活動は、何か徹底的に強い意思がないと心が折れてしまいそう。歴史上に名を残す。みんなの記憶に名を残す。優劣はあるもの本書に書かれている人達は、皆、歴史的人物。そして名前も知られないまま、多くの人が死んでしまった事も悲しい事実。この戦争には本当に勝って良かったんだろうか?と考えてしまう。2015/08/06