文春新書
ローマ教皇とナチス

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  • サイズ 新書判/ページ数 187p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784166603640
  • NDC分類 198.22
  • Cコード C0222

内容説明

地上におけるキリストの代理者、使徒の頭ペトロの後継者として、全世界のカトリック教徒から崇敬を集めるローマ教皇。だが第二次世界大戦中、モラルの体現者ともいうべき教皇は、人類史上未曾有の犯罪であるナチスのユダヤ人虐殺を知りながら止めようとはしなかった。当時の教皇ピウス十二世―エウジェニオ・パチェリは、なぜ“沈黙”してしまったのか。その理由を、彼の人生だけでなく、ヨーロッパ文化の基層にまで遡って探る。

目次

第1章 生い立ちの記
第2章 ドイツ時代
第3章 ファシズムの陰で
第4章 教皇登位と第二次世界大戦の勃発
第5章 沈黙する教皇
終章 「沈黙」をめぐる論争

著者等紹介

大沢武男[オオサワタケオ]
1942年生まれ。上智大学文学部史学科卒業、同大学院西洋文化研究科修士課程修了。ドイツ・ヴュルツブルク大学に留学し、同大学より神学博士号を受ける。専攻は古代教会史、ドイツ・ユダヤ人史。現在、フランクフルト日本人国際学校理事
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感想・レビュー

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ヤマセミ

8
ナチスのユダヤ人虐殺に対して、当時のローマ教皇はどうしたかなんて考えたことがなかったので新鮮だった。驚くことに、ローマ教皇はナチスの残虐行為について多くの情報を得ていたにもかかわらず、一貫して沈黙を守ったという。なぜなのか、詳細な分析がされていた。なんとも重かった。2017/08/17

こにいせ

5
第二次大戦期のローマ教皇・ピウス12世を軸にローマ教皇庁とナチスドイツの関係について迫る。当時のバチカンが、ナチスのジェノサイドを黙認していたというのは知っていたが、まさかここまでとは。その奥底には、キリスト教誕生以来内在し続けた「ユダヤの民への不寛容」がある。本書刊行当時(2003年)の段階では、ピウス12世に関する書簡が十分に公開されていないようだ。7年経ったが、教皇が『沈黙』し続けた理由は少しでも解明されたのだろうか。2010/04/15

スズツキ

4
平和と宗教の頂点に君臨するローマ教皇であるピウス12世が何故ナチスの蛮行に全く対策を打たなかったについて。なし崩し的に時流に飲まれて有効策を打ち出せなかったのは、戦時中の日本の主導者と被る。2014/07/04

札幌近現代史研究所(者。自称)

3
ローマ教皇ピオ12世(在位1939~1958)とナチス、ヒトラー、その最も典型的かつ巨大な犯罪であるホロコーストについての考察がなされた書籍。ピオ12世の生い立ちからはじめ、あまり私は詳しくないカトリック、ヴァチカンの制度やローマの事情なども冒頭は多少触れつつヨーロッパ情勢が第二次世界大戦へ向かっていく様とピオ12世の即位そしてその後の沈黙の理由などを多角的に探る。  個人的には連合国側と同じくホロコーストに殆ど避難をせず沈黙した教皇に怒りを覚えた。ドイツへの愛着や反共意識ゆえに許される立場ではない。2020/08/05

高木正雄

2
ピウス12世の生い立ちやキリスト教社会の反ユダヤ思想がまず解説される。当時のヨーロッパでの反ユダヤ思想はかなり深刻なものだったようだ。教皇もその思想に影響されたとしても不思議ではない。教会にユダヤ人を匿ったのがせめてもの救いか2024/04/19

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