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出版社内容情報
古代ギリシャの両性具有像、泰西名画、Ｈ・ニュートンのヌード写真まで、鬼才が裸婦像に対する偏愛のほどを語り抜いた異色の画文集
内容説明
古代ギリシャの両性具有像、ベラスケスなどの泰西名画からベルムート・ニュートンのヌード写真まで―病める渋沢が友人の手を借り、偏愛する裸体画の文化史的背景を軽妙につづった異色の画文集。
目次
幼虫としての女
エレガントな女
〓たけた女
水浴する女
うしろ向きの女
痩せっぽちの女
ロココの女
デカダンな女
両性具有の女
夢のなかの女
美少年としての女
さまざまな女たち
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
139
ハードカヴァーの1990年初版本。帯には「鬼才澁澤龍彦の文業、最後の1冊」とある。なんとも感慨深い。本書は12枚の絵と架空の対話による解説、というスタイルをとっているのだが、最後の3点は病床にあった澁澤から巖谷國士にバトンタッチされたもの。12枚の中には、バルガス・リョサの『継母礼讃』の表紙にもなったブロンツィーノの「愛と時のアレゴリー」も。中での出色はルーカス・クラナッハの「ウェヌスとアモル」、そしてヘルムート・ニュートンのシャーロット・ランプリングだろう。一方、稀少なのは百武兼行の描く「裸婦」だ。2014/05/15
yn1951jp
36
絵の中の裸婦を通して「女」を見つめる澁澤の眼である。幼虫としてのロリータ、裸体に薄絹をまとうエレガンス、娼婦的貴婦人、お尻のえくぼ（ミカエルの菱形）、猥褻な痩せた女、香水瓶を思わせるロココの女、倒錯的デカダンスの女、生命の原始としてのヘルマフロディトス（両性具有）、夢の中の欲望のオブジェ、人形（ヒトガタ）の美少年、エロスの群像としての女。「これまでの30年間に澁澤龍彦が語り続けてきたテーマやモチーフのいくつかが、自然に、しかも巧みに、ここに織り込まれている」（あとがき、巌谷國士）2014/12/08
かず
6
神戸の古本屋で初版を購入。生身の人間の肉体はいつか朽ち果てるけれど、数々の芸術作品の美しさは半永久的に保存されて、幾多の人々によって見られ読み解かれ、さらにその深みを増す。死にゆく澁澤龍彦と、文中に取り上げられている裸婦、という相対関係がそれをあまりにもはっきりとした象徴として悲しく表されている気がした。2014/04/16
Junichi Watanabe
2
#読了 。12点の絵を前にウンチクを垂れる。これが既存の評論にあらず。ウイットに富んでいて滅法面白い。博覧強記の澁澤龍彦氏だから為せる技だろう。2022/10/08
吉田良二
2
ブロンツィーノ、クラナッハ、ヘルムートニュートンを合わせて同じ本に載せてしまうセンスがとても気持ちいい。2013/01/01
