アニマルズ・ピープル

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  • サイズ B6判/ページ数 504p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784152091932
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

内容説明

スラム街の人々から“動物”と呼ばれる青年。インドのカウフプールに住む彼は、赤ん坊の頃に巻き添えとなった汚染事故の後遺症で、四本足での生活を送っていた。「おれはかつて人間だった。みんなはそんなふうに言う」と“動物”はうそぶき、その数奇な人生を語りだす。育ての親であるフランシかあちゃんとの生活、愛しい女子大生ニーシャやアメリカから来た美人医師エリとの出会い、そして汚染事故を起こした「カンパニ」と戦う個性的な仲間たちとの波瀾の日々を―世界最悪と言われた実際の汚染事故を下敷きに、みずからの不遇と容姿に苦悩する青年の生き様をユーモラスに描き上げる傑作長篇。コモンウェルス賞受賞作、ブッカー賞最終候補作。

著者等紹介

シンハ,インドラ[シンハ,インドラ][Sinha,Indra]
作家、コピーライター。1950年、インドのムンバイ生まれ。インド人海軍将校の父とイギリス人の作家の母を持つ。ケンブリッジ大学で英文学を専攻。現在はイギリスのサセックス在住。世界的な広告会社でコピーライターとして活躍したのち、フルタイムの作家に転じ、最初期のサイバースペースの暗部を描いたノンフィクションThe Cybergypsies(1999)、故郷のムンバイを舞台とする小説第一作The Death of Mr Love(2002)を発表した

谷崎由依[タニザキユイ]
作家、翻訳家。京都大学文学研究科修士課程修了、主な作品に「舞い落ちる村」(第104回文學界新人賞)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

豆ぽち

19
富める者は全てを手にし、持たざる者の人権すら認めない。私は、グローバル化した世界で、遠く目に見えない貧困問題からいとも容易く目を反らし、しかつめらしく「生きる意味」を求めている。しかし、大企業による環境汚染で二本足歩行ができなくなった「動物」は、生きる意味より、生きる方法を求める。「動物」が生も性も渇望する姿こそ、本来の動物としての人間の姿だと思わされる。赤裸々に表現される「動物」の内面に、生きることの苦しみと喜びを感じた。2015/08/14

Tui

13
「おれはかつて人間だった」インドのある村で起きた史上最悪の化学工場事故。その数日前に産まれた主人公は、重い後遺症を抱え這いつくばりながら生活している。彼は、ある記者から渡されたテープレコーダーを前に、語り始める。「ここから先は、目よ、あんたに話すんだ」本を読む私の“目”に向け語られる、汚染に苦しむ街の、人々の姿。そして彼自身の生の欲望と叫び。普段は敢えてあまり感情移入しない読書を心がけているが、四つ脚の自分自身を“動物”と呼ぶ彼の一切隠し立てのない心情吐露を読み進めるうち、いつの間にか同化してしまった。2014/10/03

りつこ

13
ヘヴィな物語だけど、下品なジョークと暴言とユーモアで包まれていて、楽しく読める。笑えるってことが何より力になるのだ、ということを思い知らされるなぁ…。それだけに、希望を持てた分絶望の深さを知る「動物」の嘆きが心に刺さる。すばらしく力のある小説だ。2011/06/01

キリン

12
幼少の頃に巻き込まれた事故の影響で四足歩行で生活する青年の物語。人間であることを諦めた動物の語り▼ 正直読み進むのが難しく、少々下品な語り口にもげんなり。また改めていつか再読してみたい。★3.4 2022/08/14

すけきよ

11
大多数の読者の視点はアメリカ人女医のエリやオーストラリア人記者と同じで、舞台のスラム街は貧困と汚染であまりに悲惨に映る。でも、そこに悲壮さが感じられないのが、語り手たる“動物”とその仲間たちのしたたかで力強い生き様。猥雑さと叙情さを併せ持った“動物”の口調。詩や歌、ヒンドゥー語が混ざることによって生み出される街の喧騒。マジックリアリズムとはまた手触りの違う、神がすぐそばにいる語り。そのすべてから生命力が溢れている。娼婦との一夜、火渡り、終盤の天国の描写……かなりの熱量を感じる。2011/04/09

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