内容説明
ガラパゴスには多彩な嘴で有名な鳥ダーウィンフィンチが生息している。２０年をかけて彼らを丹念に調査した研究者のグラント夫妻は驚くべき事件を見い出した。鳥たちは気候の変動に応じて刻々と変貌し、「現在」も進化を遂げているのだ―種を突き動かす驚異的な自然の力を克明に描き出し、進化は「過去」の出来事に過ぎないという固定観念を打破するピュリッツァー賞受賞作。
目次
第１部 現生に見る進化（ダフネ島；ダーウィンが見たこと；限りない変異；ダーウィンのくちばし；天の摂理；ダーウィンの法則；２万５０００ダーウィン）
第２部 新たなる生物（プリンストン大学；変異による創造；回る炎の剣；見えない岸辺；大いなる別離；分裂と融合の狭間で；新しい生物）
第３部 Ｇ・Ｏ・Ｄ（見えない文字；巨大な実験；外来の力；抵抗運動；伴侶；考えるイスカ）
神とガラパゴス
著者等紹介
ワイナー，ジョナサン［ワイナー，ジョナサン］［Ｗｅｉｎｅｒ，Ｊｏｎａｔｈａｎ］
１９５３年ニューヨーク生まれ。ハーヴァード大学を卒業後、科学雑誌『Ｔｈｅ Ｓｃｉｅｎｃｅｓ』の編集者を経て、現在は科学ジャーナリストとして活躍。『フィンチの嘴』で１９９５年ピュリッツァー賞を受賞。２０００年には『時間・愛・記憶の遺伝子を求めて』を発表、全米書評家協会賞を受賞した
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
345
ダーウィンの唱える進化は実証的でなく、したがって推論の域を出ず、科学的ではないと言われてきた。進化の証拠を示すことができなかったからだ。また、ダーウィン自身も、それは何万年かというスパンで起こるものだと考えていた。本書は1973年からガラパゴスでフィンチを徹底調査してきたグラント夫妻による研究の成果に迫る。彼らの研究によれば、自然選択、あるいは性選択は実はかなり短期間で起こることが実証されたのだ。つまり、進化は目に見えるということだ。こうした過程を克明に語り、読者である我々を一様に興奮と驚嘆に巻き込む書。2017/06/06
UK
35
凄く興奮させされた。進化は膨大な年月をかけて起こるものという思い込みがある一方、確かにウィルスや細菌、ミバエなどのごく短期間での進化は当たり前に受け止めていた。読後はこの世界がダイナミックに日々進化の波で揺れているという感覚になる。そう言えば、今の日本人なんて祖父母と孫の世代間の差は新種誕生のような進化だものね。これってDNAレベルでも差が観測できるんじゃないかなあ。これは1990年代の本。最新の知識は一体どこまで来ているのかどきどきしてくる。2017/06/21
umeko
19
進化は目に見える、の一節にすっかり魅了されワクワクしながら読んだ。ガラパゴスなんて遠い島の話ではない、身近な世界の話だと思うと、学者気分で庭の生物を見つめたくなった。（でも学者じゃないので、発見はないだろうなぁ。）2018/04/13
Yuichiro Komiya
18
大胆な仮説から進化論を生み出したダーウィンや、粘り強い実証実験でそれを証明してきた研究者の方達には頭が下がる。また、人間とはなんと固定観念に囚われていて、間違いやすいものかと思う所も多々あった。そして、目に見えるほどの進化の速さ、自然の適応力には全く驚かされる。フィンチの多様な進化の姿を見れば、昆虫や菌が薬剤に耐性持つ速さもなるほどと思わされる。2017/10/19
凛
17
「グラント夫妻が、その島の○年☓月には1250羽フィンチが居た、と言ったならばそれは推定ではなくて実際に存在した数である」これには痺れた。しかも全ての鳥の身体・家系図データを把握し、これを20数年続けるとは。ダーウィンの進化論は有名だが、人工的要因での証明はされていても、実際に自然の中で起こっているのを詳細データを用いた証明はされてはいなかった。進化論を机上の空論(は言い過ぎか)から、今この瞬間も家の庭で起こっていると知らしめてくれる一冊。この論理だと人間は発展途上なので、次の形態がどうなるか気になる。2013/12/07
