内容説明
生物は耳によって自分が置かれている環境を知り、乳児は声を獲得し、それを自分の声と認識することで、複雑な「再帰的自己」を作り上げていく…自身の作曲・演奏を通し、またケージやバーンスタインら同じ音楽人との交流を通して、著者は音楽の本質と向き合い、人間の心と音との深い結びつきに迫ってきた。物理学や生物学、脳認知科学の知見をふまえながら、「響き」にあらわれる音楽と心の謎を考える渾身の書。
目次
なぜ猫は鏡を見ないか?―音の鏡と再帰的自己意識
なぜ聴覚が生まれたのか?―自己定位器と聴覚の起源
なぜ魚群は一斉に翻るのか?―体の外部に開かれた感覚
なぜ音は調和して聴こえるか?―物理的音波と認知的音像
なぜ楽器で言葉を話せるのか?―二足歩行と柔軟な調声器
なぜ猫の仔とトラの区別がつくのか?―両耳で聴く差異と反復
なぜ歌は言葉よりも記憶に残るのか?―シェーンベルク=ブーレーズ・パズルの解決
なぜ異なる歌を同時に歌い始めたのか?―長短と強弱の音声リズム
なぜ理屈をこねても人の心は動かないか?―悟性が情動に遅れる理由
なぜ落語家は左右に話す向きを変えるのか?―潜水艦から空港騒音対策へ
なぜ猫はすばやくネズミを捕らえられるのか?―可聴域と超越的統覚
猫と犬の行方
著者等紹介
伊東乾[イトウケン]
1965年東京都生まれ。松村禎三、橘常定、松平頼則、高橋悠治各氏らに学ぶ。東京大学理学部物理学科卒、同大学院修了。作曲家=指揮者。東京大学作曲指揮研究室准教授等も務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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