NHKブックス
なぜ猫は鏡を見ないか?―音楽と心の進化誌

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  • サイズ B6判/ページ数 314p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784140912010
  • NDC分類 141.22
  • Cコード C1310

内容説明

生物は耳によって自分が置かれている環境を知り、乳児は声を獲得し、それを自分の声と認識することで、複雑な「再帰的自己」を作り上げていく…自身の作曲・演奏を通し、またケージやバーンスタインら同じ音楽人との交流を通して、著者は音楽の本質と向き合い、人間の心と音との深い結びつきに迫ってきた。物理学や生物学、脳認知科学の知見をふまえながら、「響き」にあらわれる音楽と心の謎を考える渾身の書。

目次

なぜ猫は鏡を見ないか?―音の鏡と再帰的自己意識
なぜ聴覚が生まれたのか?―自己定位器と聴覚の起源
なぜ魚群は一斉に翻るのか?―体の外部に開かれた感覚
なぜ音は調和して聴こえるか?―物理的音波と認知的音像
なぜ楽器で言葉を話せるのか?―二足歩行と柔軟な調声器
なぜ猫の仔とトラの区別がつくのか?―両耳で聴く差異と反復
なぜ歌は言葉よりも記憶に残るのか?―シェーンベルク=ブーレーズ・パズルの解決
なぜ異なる歌を同時に歌い始めたのか?―長短と強弱の音声リズム
なぜ理屈をこねても人の心は動かないか?―悟性が情動に遅れる理由
なぜ落語家は左右に話す向きを変えるのか?―潜水艦から空港騒音対策へ
なぜ猫はすばやくネズミを捕らえられるのか?―可聴域と超越的統覚
猫と犬の行方

著者等紹介

伊東乾[イトウケン]
1965年東京都生まれ。松村禎三、橘常定、松平頼則、高橋悠治各氏らに学ぶ。東京大学理学部物理学科卒、同大学院修了。作曲家=指揮者。東京大学作曲指揮研究室准教授等も務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

booklight

8
伊東乾の本を、頭のいい人の生き方、として読んでいる。自分の頭の良さを武器に、様々な興味を掘り下げていって仕事にして、本にしている。その行動力も素晴らしい。音楽を中心に物理学や建築までに手を伸ばしていく。ただ、作家としては話題に対する読者設定が緩いので自分の興味中心となり、読者は置いてけぼりになることがよくある。そこを承知して読んでいると、興味の広がりを楽しめる。ロジックの回転が速すぎる人が感性の仕事をしているとどうなるか、これからも楽しみ。2018/03/15

松本直哉

4
作曲家でありながら、物理学・脳科学・解剖学など多岐にわたる分野に深い造詣をもち、音楽について、音楽以前の、人間の聴覚のありかたについて、根源的に思索する。文系の私には歯が立たないところもあったけれど。ブラームスとダーウィン、金管楽器の弱音奏法とドイツ語のウムラウト、二足歩行と言葉の獲得など、思いがけない対照からの考察はスリリング。ロマネスク様式とゴシック様式の教会の建築の響きの違いから、中世ポリフォニー音楽のなりたちを説いたくだりも、いままでにない視点で面白かった。2013/06/09

manabukimoto

1
生物学、文化人類学、物理学などを駆使して考える音楽の成り立ち。 キャッチーな本のタイトルの答えは「再帰的自己認識」を猫は持たないから。人は「自己認識」を持つ段階で、発声器官の成長によりさまざまな音を発し始める。歌の原点は遺伝子にかきこまれた行為ではなく、好き勝手な「言葉」のはじまりだと言う。 ぼんやり聞いている「音楽」に、違う見方を与えてくれる一冊。2019/09/15

nnnともろー

1
音楽は音学。物理学・脳科学・建築学・進化論…様々学問と音楽は密接に関係している。著者自身の体験談・エピソードも面白く、参考になった。行動力に感心。2019/01/23

まゆまろ

1
現代音楽の作曲家でもある著者が、バーンスタインや松村禎三、ジョン・ケージなどとのエピソードを中心に、またそれだけではなく、脳認知科学や聴覚生理学、進化論のアプローチからも聴覚や音声言語について自由に語っていく本でした。聴覚の進化や現代の音楽に興味があるので、非常に勉強になるエピソードがたくさんありました。2016/11/26

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