内容説明
モーツァルトやヨハン・シュトラウスらの優れた音楽や絢爛豪華な宮殿建築、洗練されたカフェなど、現代にも通じる豊穣な文化がなぜハプスブルク帝国で育まれたのか?その背景には、戦争や結婚政策で領土を拡張しながら、多民族や多地域を束ね上げた歴代皇帝の巧みな政治的手腕があった。東方の肥沃な農地と西方の工業地を基盤にした豊かな富は、王朝の威光を示すための文化振興策に注がれたのだ。多数の写真や著者の留学体験も織り交ぜ、多面的な視点で捉え直したハプスブルク文化史入門。
目次
序章 ウィーンに息づくハプスブルク文化
第1章 カトリック文化の盟主への道
第2章 領土拡張と各国文化の流入
第3章 絢爛豪華な宮廷文化
第4章 なぜハプスブルクで優れた音楽家が育ったのか
第5章 ブルジョワ・市民文化の創造
第6章 傾きかけた帝国と高まるワルツ熱
第7章 帝国最後の輝きを放つ皇妃エリザベート
著者等紹介
倉田稔[クラタミノル]
1941年生まれ。慶應義塾大学大学院経済学研究科博士課程修了。日本社会事業大学助教授、北海道大学併任講師を経て、小樽商科大学商学部特任教授。オーストリア文部省留学生として、ウィーン大学に留学(1976‐78年)、オーストリア史を学ぶ。文部省在外研究員としてオーストリア抵抗文書館へ留学(1990‐91年)。経済学博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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サラ
3
ハプスブルク家の系図を辿りながらオーストリアの歴史と文化を流し見できる一冊。マリア・テレジアやエリーザベトはもちろん、モーツァルトや数々の名画のことまで触れてあるので、ハプスブルクについての情報をざっと整理できる。テレビなどでよく紹介されている内容ばかりなので目新しさはないけれど、写真が多く掲載されているのでパラパラ読んでも面白い。2015/11/27
さなぎ
0
NHKのハプスブルク帝国シリーズを鑑賞してから読んだので、感慨深いものだった。シェーンブルン宮殿に日本庭園があること自体は知っていたが、その背景は全く知らなかったので収穫も上々かと。フェリペ2世が音楽好きだったことは、彼の宮廷にビウエラ師範ルイス・デ・ナルバエスが居たことからも確かなことだと思われる。本書ではミュージカル『エリザベート』に触れられていたので、『モーツァルト!』に言及していないのが少し不思議… 読み易い文章だったので、他の著作にもあたってみようと思う。2013/08/25
サラ
0
ターフェルシュピッツって料理がおいしそー。2011/05/23
実穂
0
1576年、神聖ローマ帝国の首都をプラハに移したルドルフ2世はスペインで育った。病弱で精神的に不安定だったらしい。政治よりも学問や芸術の振興に貢献し、芸術の町プラハの基を作ったようだ。同時代、シェークスピアは「冬物語」でプラハを舞台にした。2010/03/03
viola
0
ハプスブルクについて、詳しくもかなり分かりやすく解説されています。それが元になって作られたミュージカルや映画、小説までも載っているのが嬉しい限りです。モーツァルト、エリザベート、などなど・・・。2009/06/01