NHKブックス
人間の本性を考える〈上〉―心は「空白の石版」か

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  • サイズ B6判/ページ数 261,/高さ 19cm
  • 商品コード 9784140910108
  • NDC分類 140
  • Cコード C1311

内容説明

人の心は「空白の石版」であり、すべては環境によって書き込まれる。これは、二〇世紀の人文・社会系科学の公式理論であり、反対意見は差別や不平等につながるとして、今なおタブー視される。世界的な認知科学者が、人の心や行動の基礎には生得的なものがあることを最新科学で明かし、人間の本性をめぐる科学が、道徳的・感情的・政治的にいかにゆがめられているかを探究する。米国で大反響のベストセラー、待望の翻訳。

目次

1 三つの公式理論―ブランク・スレート、高貴な野蛮人、機械のなかの幽霊(心は「空白の石版」か;ブランク・スレート、アカデミズムを乗っ取る;ゆらぐ公式理論;文化と科学を結びつける;ブランク・スレートの最後の抵抗)
2 知の欺瞞―科学から顔をそむける知識人たち(不当な政治的攻撃;すべては詭弁だった―「三位一体」信仰を検討する)

著者等紹介

ピンカー,スティーブン[ピンカー,スティーブン][Pinker,Steven]
現在、ハーバード大学心理学研究室教授。視覚認知と幼児の言語獲得についての研究により、米国心理学会から「Distinguished Early Career Award」、および、「McCandless Young Developmental Psychologist Award」受賞。著書に、『心の仕組み』(NHKブックス、ピュリツァー賞文芸ノンフィクション部門最終選考候補、「ロサンゼルス・タイムズ」ブック賞ほか受賞)などがある

山下篤子[ヤマシタアツコ]
北海道大学歯学部卒業。翻訳家
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

absinthe

39
【再読本】 争い、殺し、憎み合う心は悪徳とされ、醜い側面と一蹴される一方、弱きを助け、愛するものを守るという側面は美徳とされます。しかし、人間は美徳と悪徳を別個に持っているわけではありません。悪の所業の最たるものとされる「戦争」は人間の悪徳のみによって運営されるのではないのかもしれない、と気付かされた本です。もちろん反論の余地ない悪の行為もあるでしょうが、人間が普段考える美徳は戦争を維持するための武器に簡単に変わってしまいます。人間の業の奥深さを垣間見た、生涯ベストの中の一冊です。2015/11/27

赤い熊熊

14
ちょっと読みにくい。上巻終盤のジョン・ロックのタブララサ説は今もなおグールドらによって支持されていること、グールドらの左派グループがウィルソンやドーキンスら社会生物学者や動物行動学者に対して下劣な口撃をしてきたことという辺りは読みやすかった。タブララサやら高貴な野蛮人やらで人間を定義することは害悪ですらあるというような著者の姿勢は正しいと思うので、上巻消化不良ではあるけれど、このまま中巻に進みます。2017/10/16

記憶喪失した男

12
知性は、遺伝によるか環境によるかの議論についての本。2016/06/11

風太郎

7
この本は人間の脳、心、そういったものは空白から始まり、社会環境に影響され、形作られるという経験論的な立場を否定し、脳は遺伝子による青写真で設計され、心も、基本的行動もそれに影響されるという生得的な説を展開しています。無論、著者は経験論的なものを 全て否定はしていません。しかし、やはり心も、言葉も、行動も生得的なものに左右されることもあるという事は、非常に刺激が強く、優生学に繋がるとして、強烈な反発を受けていることが記されています。ただ、その反発は感情的な面もあり、自分は著者の立場を支持したいと思いました。2018/01/05

がりがり君

6
もし極端な環境論者が出てきたらこう問えばいい。「それを証明するだけの科学的根拠はあるのかい?」当時はヒトゲノム計画が終わったばかりで遺伝が人間特性に影響するという科学的エビデンスが乏しかったと想像するのだけれど。今となってはすっかり古典になってしまった感あるよね。一応今世紀の本なんだけど。2018/06/30

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