内容説明
暴力、いじめ、妬み、盗み等の横行する重度の知的障害者寮で絵画教室を始めて30年余。家庭環境に恵まれず、ゼロからスタートした障害者たちの絵が、10年、20年を経て公募展に次々入選し、“生の芸術”のメッカ、スイスのアールブリュット美術館に永久収蔵されるまでの道程。著者は、どのように彼ら独自の世界を発見し、ひき出したのか。型やぶりの指導は、福祉や教育のあり方、人間のもつ限りない可能性について問いかける。
目次
序 鶏小舎から世界へ―絵画教室の30年
1 10年間の反抗ののちに―小笹逸男
2 ずば抜けた色彩感覚―山本一男
3 親分の風格―山本悟
4 豪快さと繊細な表現―福村惣太夫
5 優れた表現世界の予感―浅木久輝
6 「家」を描きつづけて25年―堀田哲明
7 「エヘン、エヘン」と「オイ」―山崎孝
8 二人の男の戦い―森昭慈
9 希望の星―岡本由加
終 ときに感あり