NHKブックス<br> 現代児童文学の語るもの

NHKブックス
現代児童文学の語るもの

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 236,/高さ 19cm
  • 商品コード 9784140017777
  • NDC分類 909
  • Cコード C1395

内容説明

1950年代末、小川未明らの童話伝統を乗り超え、真に子どものための文学を標傍した児童文学革新の波は、果して何を生みだしたのだろうか。松谷みよ子、佐藤さとるらにより物語性豊かな作品が生み出され、那須正幹、後藤竜二らは、過酷な状況下にある子どもを描き出したが、子どもに与える向日性の文学という軛からの開放は、同時に、児童文学自体のジャンルとしての危機をもたらしている。子どもの世界が大きく様変わりし、大人の文学との境界が曖昧化するなかで、問題群ごとに作品を捉え直し、児童文学革新の40年を問い直す。

目次

第1章 『童苑』学徒出陣号をめぐって―現代児童文学の遠いみなもと
第2章 ふたつの歌物語、『ビルマの竪琴』と『二十四の瞳』―児童文学の空白期
第3章 児童文学革新の時代―「子ども」のほうへ
第4章 「箱舟」からの自立―いぬいとみこ『木かげの家の小人たち』(1959年)をめぐって
第5章 「箱舟」のなかでむかえる死―那須正幹『ぼくらは海へ』(1980年)からはじめて
第6章 「原風景」の考古学について―現実をこえる想像力(1)
第7章 「楽園」の喪失について―現実をこえる想像力(2)
第8章 児童文学のなかの「戦争」―「戦争児童文学」をこえて
第9章 失語の時代に―「理想主義」では語り切れないもの
第10章 「児童文学」という概念消滅保険の売り出しについて―ゆらぐ「成長物語」の枠組

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ひめありす@灯れ松明の火

14
ファージョン全集を読んでいたら、職場の上司から貸してもらえました。こういうのが好きなのか、と。好きですよ?2010/04/13

やまやま

9
本書は昭和期の日本の児童文学のまとめと考えることは著者の意図からそれほど外していないとは思いますが、子供向け読み物のなかで文学・フィクションという部分を語ることは何となく照れくさく、多分、星霜を経てそういったものへの感覚が若干遠いものになっているからかもしれません。これは、例えば科学や社会の本であれば岩波ジュニア新書や筑摩プリマー新書など大人の本と変わりなく読めることに比較しての微妙な差異なのですが、マンガやアニメなどにおいても若干趣味が変わってきたかなと思います。以上あまり内容のない感想で失礼しました。2021/06/06

にたいも

6
半ズボンのすその空色のしみ(ベラ『ほんとうの空色』)から始まり、アリエスの子ども服の誕生を引き、児童文学の誕生を語り始めるという冒頭がおしゃれ。難しめの話にもいつの間にか興味をもってひきこまれて読める。教育の場で学生が興味をもつように工夫し続けた方なのだろうなと思った。/暗黙のうちにささえていた文脈が失われて、今西祐行『一つの花』を小学校で教えることが困難になったことが1990年代に既に語られていたのか…。2023/12/16

たかぴ

6
元の児童文学を読んでいないので話の内容についていけず。残念。2022/02/05

ひじき

1
遍歴物語についての記述が面白かった。遍歴物語のキャラクターは成長しない。それはリアルさじゃなくて、ある観念をあらわす。たとえば、正義という観念をあらわすキャラクターとしてのアンパンマンとか。なるほど!2013/08/23

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/244058
  • ご注意事項