内容説明
不足する食料、生活物質の欠乏、吹き出す民族問題、国民の不満は頂点に達した。ペレストロイカは、いま、綱渡りの状況にある。農業集団化の破綻がもたらす低生産性など、農政の歴史と体制が残した「負の遺産」を、ゴルバチョフは克服できるか。本書は、第一線のソ連経済アナリストによる詳細なデータの分析から、農業不振の根源を多元的に捉え、農業・食料問題を解明した労作である。新しい経済のメカニズムの導入によって食料の需給を飛躍的に改善することができるか。
目次
1 “食料問題こそ、政治だ!”―不足する食料・生活物質、いきりたつ民衆
2 ソ連の農業生産力を、どう捉えるか
3 ソ連農業のたどった途
4 ソ連農業の体制と生産性の問題
5 ゴルバチョフの農業ペレストロイカ
6 ’89農業総会と改革プログラム
7 農村の新経済組織のもたらしたもの
8 農業改革の新しい風
9 ソ連農業とペレストロイカの行方―混沌と揺らぎのなかで