出版社内容情報
ゲシタルト心理学は,心理学のみならず諸科学に多大の影響を及ぼした.本書はケーラー自身による,ゲシタルト心理学の成立,発展,自然科学との関連,思考とは何かの四部にわたる講演であり,最も親切な解説である.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
コウメ
53
行動主義を唱えたワトソンと同じ時期にドイツででてきた。ヴントの意識心理学に対抗した新しい心理学「ゲシュタルト心理学」(ケーラー、コフカ、ヴェルトハイマーによって主張)。/ゲシュタルトという意味は「形態」という意味。何か見た時の「まとまり」や「かたまり」「形」をゲシュタルトという。人の感覚や、心のはたらきに影響を与える。2020/04/23
T.Y.
8
ゲシュタルト心理学の発展史および基本的な考えを解説したケーラーの講演(死後出版)。あくまで心理現象が独立した局所的要素からなると見なす「原子論」的考えの根強い偏見と、それに対抗し、関係からなる、諸部分の総和とは異なる全体が考察されるべきことを示していく。まだ分からないことについても多くを語っており、その分明快ではないが開かれた幅広く議論を提示する。心身問題という伝統的な哲学的主題から生理学的説明、物理学との類比まで論の範囲は広く、その論法に違和感を感じる部分もあるが、当時の思想状況を反映しており興味深い。2016/02/25
たかね@心理学
2
『全体は部分の総和とは"異なる"』。「全体は部分の総和以上のものである」という一句は、実際にはゲジタルト心理学者が用いたものでないとのこと。ケーラーは「異なる」という事実を憶えておいてもらいたい、としばしば述べている。そうプラットは書いている。この著書は4回にわたる一般人向けの記念講義を、三人の編者がまとめたものである。デカルトの動物精気の引用が多い。また、終章ではゲシュタルト心理学を思考に当てて書いている。それ以外は長々とした知覚概論書5ページ分程度の内容。訳文以上の意味は見出だせなかった。2015/06/20
Lian
0
現在における認知科学の走りみたいなもんかなぁ。2013/02/13