内容説明
ピタゴラスからマンディアルグまで、古今東西より選ばれた巨人たち一四二人の消息を、著者自らの体験をまじえ融通無碍に綴った空前の人物譜。六〇~七〇年代のカルチャーシーンに多大な影響を与えた伝説の総合誌『遊』より生まれた幻の大著。1巻にはピタゴラスからエジソンまでを収録。
目次
場所を記憶する数学―ピタゴラス
ローガとアローガに始まる―マハーヴィラ
想起のための国家―プラトン
偏倚原子と気まぐれ粒子―エピクロス
戯論を四句否定する―ナーガルジュナ(龍樹)
鉱物になったタオイスト―葛洪
択滅の世界論理学―ヴァスバンドゥ(世親)
言霊物質と代作歌人―柿本人麻呂
汎マントラ・アーティスト―空海
照明学派の神智学―スフラワルディ〔ほか〕
著者等紹介
松岡正剛[マツオカセイゴウ]
1944年、京都市生まれ。編集工学研究所所長、帝塚山学院大学教授。二十代で創刊した雑誌『遊』によって、日本のアート・思想・メディア・デザインに大きな影響を与える。その後、独自の方法的世界観を編集工学として確立、その研究成果を著作・映像・マルチメディア・インターネットなど斬新な手法で発表した
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
阿部義彦
18
古本市で入手、中公文庫、2003年刊、活字が小さいです。現編集工学研究所、所長の松岡正剛さんが若い頃、編集長をしていた、伝説の雑誌『遊』から生まれた空前の人物譜です。古今東西の文化人からの連想を著者自らの体験を踏まえ融通無碍に綴っています。ピタゴラス、ダ・ヴィンチ、サド、マルクス、道元、テーマによっては(特に数学者、哲学者等)私には理解不能なものもありますが、文学者はほぼ楽しめました。しかし、20代でこの知識量には圧倒されるばかりです。ガロのバックナンバーは良く見るけど雑誌『遊』は皆無、欲しいです。2023/11/16
白義
6
松岡正剛の最高傑作。科学、芸術、文学、哲学古今東西ありとあらゆる分野から知の巨人たちを集め、随想にしていく驚異の書物。龍樹に柿本人麻呂やマッハといった多彩な人物をこれまた多彩な視点で語るのは編集工学の巨人セイゴウならでは。興味深いのは全体を貫く基層に、そうした編集コード自体を破るオカルティックな自然哲学の探求があるところか。科学者からオカルト的な想像力の飛躍を促す詩情を、文学者からその想像力自体を抽出した物質を構想する。運動と光、物質が裏キーワード。松岡正剛の中でもとりわけ「ヤバい」著作でもある2012/02/26
うりぼう
4
内容は全然判らないのにただ、感動してページをめくった。驚嘆の博識と編集力。現代の南方熊楠か。京都3000年の歴史の産物。2003年ベスト1位2003/12/07
greenman
3
本書を100ページほど読んだ時にふっと気づいた。もしかすると自分はこの本をまったく読めてないんじゃないかという不安に駆られたのだ。それからというものこの本に載っているすべて人物で気になった箇所を抜き出したり整理しながら読みだした。その量はノート1冊分に及び、それでようやくこの本を多少読めただろうという気分になった。これが読めるのは、何千冊もすでに読んでいて新しい見方を得ようとする天才か、結局何もわからないままセイゴオ体験が終わるか、世界を知る遊行者ぐらいだ。自分にはノートをとるしかセイゴオに挑めなかった。2012/03/01
Takumi
2
博覧強記の言葉に圧倒されつつも、「場所(トポス)」という器と生命の編まれ方が描かれてあるのではと受け取りました。そのような読み手の勝手な想像ですが、それでも書き手の表象に追いていかれていると感じざるを得ません。参りました。2024/03/07