内容説明
戦後の超ベストセラー『流れる星は生きている』の著者が、30年の後に、激しい人生の試練に立ち向かう苦闘の姿を描く、感動の半生記。自伝小説。
目次
第1章 女学校時代
第2章 新婚生活
第3章 放浪生活
第4章 夢に見た日本
第5章 成長した家族たち
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
レアル
76
「流れる星は生きている」に続けて読んだ。藤原ていさんの自伝的著作。ていさんの娘時代から、夫(新田次郎氏)の死までが書かれてある。「流れる星~♪」と重なる部分もあり、かつその後の生活が分かる本ではあったが、私的には前作を読んだだけ十分だった!というのが正直な感想。でも子育ての仕方は満州引き上げ時の体験からきているとの事で、その育て方に感服。2015/07/10
TATA
58
高校生のときに学校主催での藤原ていさんの講演に参加する機会があった。北朝鮮からの脱出行のくだりは当時の自分にはひどく衝撃的だった。それから30年ほど経過し、あらためて一読。その苛烈極まる経験故に子供達への愛情に溢れた厳しい態度はとても印象的に映る。旦那様を亡くされた後、文筆と講演を出来る限り引き受けるとの文章あり。その縁あって遠路遥々我が母校まで来ていただいたことにあらためて感謝の思いがこみあげる。2020/09/29
piro
33
藤原ていさんの自叙伝。不遇な女学生時代、『流れる星は生きている』で語られた満州からの幼な子3人を連れた壮絶な逃避行。本当に耐え忍んで生き抜いた様が痛い程感じられます。そして奇跡的な帰国と夫との再会、その後の日本での生活。様々な事に思い悩みながらも、強い母として生きた様も衝撃的でした。激しくて強い人。そして意志の人と言う印象。夫・新田次郎さんとの関係は、温かい会話が少ないながらも心が通じ合っていると感じられる、いかにも昔の夫婦という所が何だか微笑ましかったです。2019/09/03
キクチカ いいわけなんぞ、ござんせん
31
名著「流れる星は生きている」以前と以後の記録。物乞いまでして北朝鮮抑留時を生き延びて脱出。国境で北朝鮮軍に見つかり「母子ともいっそ殺してくれ」と立ち上がれないまま言ったら、兵士達がおぶって国境まで連れてきてくれて「ここから先に自分達は行けないので、歩いてアメリカ軍に助けを求めよ」と言われた話が心に残った。2022/10/03
ジョニジョニ
29
8月15日で戦争はおわった、なんてとんでもない、その日から戦争が始まった人たちがいたと”流れる星は生きている”で教わった。その前後が描かれていて、なぜ市井の主婦があんなすごい本を書けたのか、ベストセラーになってからも、なぜ作家の道に入らなかったのか、よくわかります。わたしは何処そこでいつ生まれて、なんてありきたりな自伝ではなく、小説の体をとっているので読みやすく、面白い。苦難を乗り越えて、奇跡的に家族全員、そろって大人になって、仲良しかと思うとケンカしたりするのは、幸せな時間だったんだろうなーと和みます。2022/06/05