感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
朝日堂
17
タイトルは所収された数篇のなかでもっとも日付が新しいものであるので、共産主義についてのみ語られた書ではない。そしてこれら数篇が書かれた日付を見るとき、如何に彼がその数年先の政局大局を予見していたかを知るに至る。たとえば「十字路に立つ大学」のなかに大学紛争における諸問題の土壌があるのを知り「無人境のコスモポリタン」では公害とエネルギー資源の問題こそ死活の重大事であると説かれ「旅順陥落」から「共産主義的人間」に至る文章で、ソ連自らはじまるスターリン批判からチェコ事件への歴史の考察が描かれる。1951年出版。2013/07/08
にゃん吉
4
穏やかで淡々と記述される中で、強靭でいてしなやかな知性や、人間や社会に対する鋭い観察眼、強固な信念が滲み出るような一冊。きだみのる宛ての手紙という体裁の「無人境のコスモポリタン」、三木清との交友の一端が書かれた「三木清との思い出」といった著述が収録されているくらいの古い時代の著述ですが、今読んでも、はっとさせられるものがありました。庄司薫氏の解説が、独特の味があり、また興味深い。2021/12/18
アメヲトコ
2
よく見れば見えるはずのものをちゃんと見るというのは実に難しいことですが、1951年の時点でソ連の欺瞞を鋭く剔った表題作はまさに著者の目の確かさをよく示しています。獄死した友を語った「三木清の思い出」も愛情にあふれた名文。2015/07/24
katashin86
1
信州長野の古書店にて入手。初読してのお気に入りは「ちぬらざる革命」2023/06/29
牙のある羊
0
「ちぬらざる革命」はハイエクの「隷従への道」に近いイメージ。福祉国家と共産革命との関係が分かりやすく描かれている。2012/11/21