中公新書<br> 階級にとりつかれた人びと―英国ミドル・クラスの生活と意見

中公新書
階級にとりつかれた人びと―英国ミドル・クラスの生活と意見

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  • サイズ 新書判/ページ数 204p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121015891
  • NDC分類 361.84
  • Cコード C1236

内容説明

庭のある、郊外のこぎれいな家に住み、夫は毎日電車で通勤、妻は家事をしながら夫の帰りを待つ。週末は庭いじりかドライブ…。「典型的なイギリス紳士の家庭」だと思われている彼らこそ、本書の主人公「ロウアー・ミドル・クラス」の人びとである。彼らは、ヴィクトリア時代に社会に根を下ろし、揶揄や嘲笑を浴びながら、近現代のイギリス文化を逆説的に支えてきた。その百年あまりの生態をエピソード豊かに綴る。

目次

第1章 二つのミドル・クラス
第2章 ヴィクトリア朝―せせこましい道徳の時代
第3章 「リスペクタビリティ」という烙印
第4章 「郊外」のマイホーム
第5章 ロウアー・ミドル・クラス内の近親憎悪
第6章 貴族への憧れ、労働者への共感
第7章 階級を超えるメアリー・ポピンズ
第8章 クール・ブリタニア―「階級のない社会」?

著者等紹介

新井潤美[アライメグミ]
1961年(昭和36年)生まれ。東京大学大学院博士課程満期退学(比較文学比較文化専攻)。現在、中央大学法学部教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

はやしま

26
ロンドン在住時、周囲の会話に階級に関する嘲笑・皮肉などを感じることが本当に多かった。わかっているつもりだったが、ミドルクラスの葛藤-ロウワーとアッパーの差-は根深い。言葉やアクセント、出身学校、職業。室内の装飾や所有物が属する階級により意味が変わる複雑さ。「リスペクタビリティ」というスティグマ。それを日常無意識のうちに意識し判断する、まさに取りつかれているイングランドの人々。具体例としてH・G・ウェルズからハリー・ポッターまで物語の世界に見られる階級、メアリー・ポピンズやジーヴスの人気理由などが示される。2021/02/20

ごへいもち

22
面白かった。知れば知るほど興味深い英国。ミルクティ:ミルクを先に入れるのはノンアッパーとは知らなかった。確かチャーチルがそうしていたとどこかに書いてあったと記憶しているが裏返しのスノビズムのようなものか。(マールバラ)公爵家の出身だからできることかな2013/11/24

けいちか

9
イギリスが階級社会であるということは、頭では理解していたが、ここまで細かく本人たちが意識しているとは思っておらず、なかなか大変なんだなと思った。しかし、ある意味日本も階級ではないものの、貧富の差というか、知識・学歴の差などからくる格差があるのは否定はできないところ。そして、実はロシアにも階級社会があることに、あまり人々は気が付いていない。2016/03/21

オールド・ボリシェビク

4
面白い。イギリスの中産階級も大変なんだなあ、と思う。アッパーにはなれず、ワーキングクラスからは追われる立場のロウアーミドルの人々の悲哀が伝わる。それに比べて、日本社会は、真のアッパーなんて皇族しかいないのだから、理解は楽である。いずれにせよ、アッパーミドルとロウアーミドルの間の強固な壁について考えさせてくれました。2023/04/27

mmaki

3
イギリスものの映画やドラマ、小説を見たり読んだりするのがさらに楽しくなる。今まで漠然と見ていた箇所を注意して見ようと思う。でもこの本よりひとつ前に読んだ「不機嫌なメアリーポピンズ」の方が読みやすかった。しかし…端から見ると面倒なことこの上ないけど、それも文化だもんね。2015/11/10

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