内容説明
十八世紀なかばに、オーストリア、フランス、ロシアなどの大国を相手に七年戦争を戦い抜いた小国プロイセンの王フリードリヒ。彼は戦略の大家であると同時に、ヴォルテールを師として詩作に耽り、自らフルートを奏でる芸術家でもあった。しかし、彼にまつわる諸伝説の多くは、プロイセンがドイツ帝国となった十九世紀に成立したものであった。本書は、歪められた虚像の奥から、啓蒙君主の魅力的な人間性を引き出す試みである。
目次
1 初めてのプロイセン王―フリードリヒ一世
2 軍人王フリードリヒ・ヴィルヘルム
3 王太子フリードリヒ
4 逃亡
5 ラインスベルク宮の雅宴
6 夢想するアンティ・マキャヴェリスト
7 シュレージエンの征服
8 サンスーシ宮の建設
9 貴婦人たちとの戦い、七年戦争始まる
10 姉ヴィルヘルミーネの『回想録』
11 文人フリードリヒ
12 素顔のフリードリヒ
13 孤独な晩年
14 寛容はどこへ行ったか