内容説明
遷都とは一体なにか。東京一極集中問題の解決と地方復活のために、なぜ遷都が提案されるのか。本書は東京が首都となった経緯から説きおこし、古今東西の首都の歴史、各種の遷都論の系譜、遷都の意義と効果、実現可能性、分都と展都、新首都の位置と求められる機能を多角的に検証する。さらに道州制などの地方分権にも言及することによって、遷都が広い基盤で議論されるための偏らない情報を提供する格好の案内書となっている。
目次
第1章 世界史における首都について
第2章 帝都東京の誕生
第3章 明治から現代までの遷都論の系譜
第4章 「一極集中」のメカニズム
第5章 東京一極集中の解決策を考える
第6章 はたして遷都は可能か
第7章 世界各国首都物語
第8章 新首都に求められる条件
第9章 新首都の機能と残された東京
第10章 新首都と日本列島の将来像
付論 県都について
遷都と国土政策を理解するための基本用語
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
金監禾重
5
歴史ライターの印象のある著者の本業(通産省官僚)的な著作。1988年刊。本書を読めば遷都論の活気が伝わるが、今となってはなかなか遷都の実現は想像しにくい。東京が圧勝し、差が開くばかり。東京は金を生み、遷都論の根拠である東京の弱点を金で解決する。一方で他地域への遷都後、首都を創造・整備する体力が日本にあるだろうか、と思う。著者は遷都推進論者で、反対派を煽る表現も鼻につく。反対派はまじめでないとして「引き分けなら王座防衛というルールはボクシングにしかない」というが、遷都議論では引き分けなら現状維持だ。2022/07/06
depo
0
図書館リサイクル本。ひと頃は遷都論が多く議論されていたが、近頃は殆ど聞かない。当時よりも東京への一極集中はさらに進んだようだが。2020/09/19