中公叢書
京劇―「政治の国」の俳優群像

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  • サイズ B6判/ページ数 358p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784120032240
  • NDC分類 772.22
  • Cコード C1074

内容説明

中国演劇の俳優は、肉体を極限まで酷使する超人的な表現能力を要求された。彼らは強靭な意志力を持ち、舞台上だけでなく舞台外でも、熱い人間ドラマを繰り広げた。西太后、袁世凱、毛沢東など時の最高権力者と結びついたり、芥川龍之介やチャップリンなど外国の文化人と交流した。また、抗日戦争や文化大革命の嵐のなかでも自己のプライドを貫いた。本書は京劇俳優たちの人生を取り上げ、中国史の知られざる一面に光を当てると同時に、日本の近代の歩みについても見つめ直そうとする自戒の書である。

目次

第1章 京劇形成までの道のり―清初から乾隆帝まで
第2章 清朝の衰退、京劇の発展―十九世紀初頭から清末まで
第3章 近代化への苦しみと京劇―辛亥革命から民国初年まで
第4章 京劇の黄金時代―慢性的内戦と平和
第5章 戦火と京劇―満州事変から国共内戦まで
第6章 国をあげての京劇改革―建国前後から文革前夜まで
第7章 革命模範京劇の時代―文化大革命期
第8章 グローバル時代の京劇―市場経済の荒波の中で

著者等紹介

加藤徹[カトウトオル]
1963年、東京に生まれる。東京大学文学部、同大学院で中国文学を専攻し、その間90~91年、北京大学に留学。学生時代は「票友」(アマチュア京劇俳優・楽器奏者)として舞台上演や日本語京劇の創演にも参加、プロの京劇俳優と交流する。現在、広島大学総合科学部助教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

さとうしん

12
清代から21世紀初頭までの京劇と政治との関わり。西太后、袁世凱、毛沢東ら為政者との関わり、梅蘭芳ら有名俳優の銘名伝、新中国の京劇改革、文革と京劇、京劇を通じた日中交流等々。革命模範劇について、ありがちな否定的評価で一刀両断せず、伝統京劇が行き着いたひとつの帰結とする点、一次伝統、二次伝統と、京劇の「創造的破壊」(マイクの使用、女優の導入など)の話が面白い。2021/04/21

CCC

8
京劇の歴史が門外漢なりに把握できたと思う。京劇は近現代において、節々で権力者の政治利用や抑圧などの影響を受けながらも、大衆から皇帝まで中国人の心を掴んだサブカルチャーだった。あくまでサブカルチャーであり、最後までハイカルチャー化はしなかった。そのため伝統枠で落ち着くことがなく独特の活気があったが、改革開放路線に入ってからは映画や歌謡曲などの文化に押されて下火となった。しかし京劇で育った世代が権力を握るようになったことと、本格的な国際化によるプラス影響もあり、今も脈々と血脈を保っている。2021/12/10

著者の生き様を学ぶ庵さん

4
著者は中国文学の教授であるだけでなく、京劇マニアである。これは驚くことではない。著者にもまして、京劇のディープなマニアはなんと、芥川龍之介であった。これにはビックリ。2015/07/06

takao

3
ふむ2024/03/24

ELW

2
 京劇の歴史が存外短いことに吃驚した。確かにギリシアのがべらぼうに古い割りに、古代中国の佳品は知られていない。『陋巷に在り』では恐るべき呪術的なものとして俳優?達の動きが描かれていたが典拠はなんだろう。『最後の宦官 小徳張』を読んでおいてよかった。2019/04/03

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